チャンスは作るも、リズムに乗れないまま時は過ぎ…。
しかし、日本が普段どおりでなかったのは、ところどころに信じられないようなミスが出ていたことだ。臆病に見えるほどに慎重だったグループリーグの戦いとは、この点で決定的に違っていた。そもそも失点のきっかけとなったCKは、DFのパスミスから生まれたものである。雨の影響は軽視できないものの、むしろこの日初めてという布陣が、少なからず日本のリズムを狂わせていたのだろう。
稲本は「初めての組み合わせということもあって、どう攻めていいのか迷うようなところがあった」と試合後に振り返っているが、日本の戦いぶりは、彼の印象を裏づけるものだったと言える。
前半終了直前、絶好のポジションで日本がFKを得る。三都主のコントロールされたキックが、クロスバーを叩く。惜しい。スタンドにため息が湧く。しかし、こうした決定機逸は、どちらともつかない流れを失うきっかけになることがある。流れが作れず、少し嫌なムードのまま、日本は前半を折り返すことになった。
後半、日本は三都主と稲本を下げて、市川大祐と鈴木隆行を投入する。1点のビハインドを覆すために、ベンチは早くも動いた。これを契機に日本はワイドな攻撃が可能になり、やや押し気味に試合を進めるようになった。51分には中田英のミドルがトルコ・ゴールを襲い、60分、64分にそれぞれ西澤と鈴木が決定的なチャンスを迎える。
しかし、日本の攻勢は一時的なものだった。後半の序盤を高い集中力と堅実な守備で凌いだトルコは、65分を過ぎたあたりから鮮やかなカウンターを繰り出す余力を取り戻していた。チャンスは作るものの、どこかリズムに乗れず、たたみ掛け切れない日本。キックオフから狂いはじめていた歯車は、後半にしわ寄せとなって表われ、いつものような後半のスパートがかけられない。
主力の不調もあった。大会前にコンディションを崩した小野伸二は、この日も本来のキレが見られず、ベルギー戦で足首を痛めた中田英も動きがシャープではない。攻撃に変化をつけるべきふたりが本調子でなかったことは、日本にとって痛かった。
中田英は「勝てなかったということは、何かが足りなかったということでしょう」と試合を総括した。この唐突な幕切れは、その「何か」を探す、新たな旅の始まりを意味しているのだろう。
◆2002年6月18日 宮城
日本 0‐1 トルコ
【得点者】
ウミト・ダバラ(12分)
【日本】
GK:楢崎
DF:松田、宮本、中田浩
MF:戸田、稲本(46分市川→86分森島)、明神、中田英、小野
FW:西澤、三都主(46分鈴木)
【トルコ】
GK:ルストゥ
DF:ファティフ、アルパイ、ビュレント、ハカン・ウルサン
MF:ウミト・ダバラ(74分ニハト)、トゥガイ、エルギュン、バストゥルク(89分イルハン)
FW:ハカン・シュクル、ハサン・サス(85分タイフル)
※週刊サッカーダイジェスト2002年7月5日号増刊より
稲本は「初めての組み合わせということもあって、どう攻めていいのか迷うようなところがあった」と試合後に振り返っているが、日本の戦いぶりは、彼の印象を裏づけるものだったと言える。
前半終了直前、絶好のポジションで日本がFKを得る。三都主のコントロールされたキックが、クロスバーを叩く。惜しい。スタンドにため息が湧く。しかし、こうした決定機逸は、どちらともつかない流れを失うきっかけになることがある。流れが作れず、少し嫌なムードのまま、日本は前半を折り返すことになった。
後半、日本は三都主と稲本を下げて、市川大祐と鈴木隆行を投入する。1点のビハインドを覆すために、ベンチは早くも動いた。これを契機に日本はワイドな攻撃が可能になり、やや押し気味に試合を進めるようになった。51分には中田英のミドルがトルコ・ゴールを襲い、60分、64分にそれぞれ西澤と鈴木が決定的なチャンスを迎える。
しかし、日本の攻勢は一時的なものだった。後半の序盤を高い集中力と堅実な守備で凌いだトルコは、65分を過ぎたあたりから鮮やかなカウンターを繰り出す余力を取り戻していた。チャンスは作るものの、どこかリズムに乗れず、たたみ掛け切れない日本。キックオフから狂いはじめていた歯車は、後半にしわ寄せとなって表われ、いつものような後半のスパートがかけられない。
主力の不調もあった。大会前にコンディションを崩した小野伸二は、この日も本来のキレが見られず、ベルギー戦で足首を痛めた中田英も動きがシャープではない。攻撃に変化をつけるべきふたりが本調子でなかったことは、日本にとって痛かった。
中田英は「勝てなかったということは、何かが足りなかったということでしょう」と試合を総括した。この唐突な幕切れは、その「何か」を探す、新たな旅の始まりを意味しているのだろう。
◆2002年6月18日 宮城
日本 0‐1 トルコ
【得点者】
ウミト・ダバラ(12分)
【日本】
GK:楢崎
DF:松田、宮本、中田浩
MF:戸田、稲本(46分市川→86分森島)、明神、中田英、小野
FW:西澤、三都主(46分鈴木)
【トルコ】
GK:ルストゥ
DF:ファティフ、アルパイ、ビュレント、ハカン・ウルサン
MF:ウミト・ダバラ(74分ニハト)、トゥガイ、エルギュン、バストゥルク(89分イルハン)
FW:ハカン・シュクル、ハサン・サス(85分タイフル)
※週刊サッカーダイジェスト2002年7月5日号増刊より