500試合出場はあくまで通過点。それよりも――
口で言うのは簡単だ。だが、田中は実際に体現してみせている。キツくないのだろうか? 当の本人は「いや、やっぱりキツいっすよ」と柔らかい笑顔を見せる。
「だけど、それでもやらなければいけないから。ボールに一回も触ってなくても、観てくれる人に何かが伝わるプレーをしたい」
そのために、普段のトレーニングを真剣にこなしているという。「細かいところでもマックスでやる」。辛いフィジカルも絶対に手を抜かないのは、「それは自分のためだし、試合のため」だ。
リラックスしながらでもできるようなメニューも本気で取り組む。そんな田中は、若い選手が増えた山雅にとって貴重な存在でもあるはずだ。
「俺がまだここにいるうちに、何かを感じ取ってほしいし、吸収してもらえればいい。彼らの心に響かせたい。それで少しでも成長につながって、また次の若手に伝わっていけば、俺としても嬉しい」
自分のために、山雅の勝利のために、これからチームを背負って立つであろう若手のために、田中は全身全霊を捧げて日々を過ごしている。今季も開幕から右ウイングバックのレギュラーとして先発を続ける男は、ひとつの記録達成を目前に控えている。
「だけど、それでもやらなければいけないから。ボールに一回も触ってなくても、観てくれる人に何かが伝わるプレーをしたい」
そのために、普段のトレーニングを真剣にこなしているという。「細かいところでもマックスでやる」。辛いフィジカルも絶対に手を抜かないのは、「それは自分のためだし、試合のため」だ。
リラックスしながらでもできるようなメニューも本気で取り組む。そんな田中は、若い選手が増えた山雅にとって貴重な存在でもあるはずだ。
「俺がまだここにいるうちに、何かを感じ取ってほしいし、吸収してもらえればいい。彼らの心に響かせたい。それで少しでも成長につながって、また次の若手に伝わっていけば、俺としても嬉しい」
自分のために、山雅の勝利のために、これからチームを背負って立つであろう若手のために、田中は全身全霊を捧げて日々を過ごしている。今季も開幕から右ウイングバックのレギュラーとして先発を続ける男は、ひとつの記録達成を目前に控えている。
2001年に横浜でキャリアをスタートさせてから、今季でプロ18年目を迎えた。横浜や名古屋でJ1優勝を経験し、松本ではクラブ史上初のJ1昇格に貢献。そうして積み上げてきたJ通算出場試合数は、今季の3節・東京V戦で499試合を数えた。
J1で389試合、J2で110試合。そして“大台”まであと1試合。もっとも、田中自身は「そういう数字には、あまりこだわりがない」。500試合出場もあくまで通過点であり、それよりも早くJ1の舞台に戻ること、さらには「J1でただ試合に出るだけでなく、勝率やタイトルにこだわりたい」とはるか先を見据えている。
取材当日、松本はあいにくの雪だった。めったに顔を出さない記者に対し、田中は「どうしたんですか、久しぶりじゃないですか。はるばる松本まで、こんな寒い時にありがとうございます」と丁寧に挨拶してくれた。
相手を思いやる人柄も、プレースタイルも、サッカーにかける情熱も、山雅を想う気持ちも、何ひとつ変わっていない。田中隼磨は、田中隼磨のまま、これからも走り続ける。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
J1で389試合、J2で110試合。そして“大台”まであと1試合。もっとも、田中自身は「そういう数字には、あまりこだわりがない」。500試合出場もあくまで通過点であり、それよりも早くJ1の舞台に戻ること、さらには「J1でただ試合に出るだけでなく、勝率やタイトルにこだわりたい」とはるか先を見据えている。
取材当日、松本はあいにくの雪だった。めったに顔を出さない記者に対し、田中は「どうしたんですか、久しぶりじゃないですか。はるばる松本まで、こんな寒い時にありがとうございます」と丁寧に挨拶してくれた。
相手を思いやる人柄も、プレースタイルも、サッカーにかける情熱も、山雅を想う気持ちも、何ひとつ変わっていない。田中隼磨は、田中隼磨のまま、これからも走り続ける。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)