散見されるイージーミスにつけ込みたい。
この試合では本領を発揮し切れずに終わったとはいえ、コートジボワールは本来、守備ではハイプレス、攻撃はパスワークを軸とするチームだ。ドログバを中心に前線の高い位置からプレスを仕掛け、中盤でのボール奪取を狙う。
そこから正確にパスをつなぎ、アタッカーが前を向いてボールを持てば、果敢に仕掛けてビッグチャンスを作り出す。中盤でパスをつないでいる間、前線のポジション取りは流動的だ。ドログバが必ずしも中央に張っているとは限らず、両サイドのジェルビーニョとサロモン・カルーがいつの間にか左右を入れ替えていたりする。個人の突破や裏への飛び出しといったスイッチが入るのは、ボールが一度前線に収まってからだ。
こうしたつなぐスタイルの一方で、一発のロングボールをドログバが力強く収めるイメージもあるが、それはアクセントであり、攻め手を欠いた際の最終手段だ。中盤でのポゼッションからドログバが縦パスを引き出し、ジェルビーニョやトゥーレ・ヤヤに前を向かせるのはひとつの定型だ。「今回が最後のワールドカップだろう」と語る36歳のドログバが優先しているのは、周囲を生かすプレーだ。もちろんチャンスと見れば、自ら仕掛けもする。
トゥーレ・ヤヤの飛び出しとミドルシュート、ジェルビーニョのドリブルは、対戦相手にとって脅威になるだろう。ただ、フィニッシュの場面に顔を出す回数が多いのは、左ウイングに配置されるカルーだ。バイタルエリアに入り込む動きが得意で、ゴール前での冷静さもある。チェルシー時代の勝負弱いイメージは、2年前に移籍したリールで改善された感がある。トゥーレ・ヤヤ、ドログバ、ジェルビーニョだけではなく、ワイドのシャドーストライカーにも警戒が必要だ。
高い位置で攻撃が続けば、SBのセルジュ・オーリエとアルトゥール・ボカが攻め上がり、危険なクロスを入れてくる。とはいえ、まずは中盤のパスとドログバに入って来るボールを抑え、なるべくジェルビーニョやトゥーレ・ヤヤに前を向かせないことが重要になる。
守備に関しては、個々のプレスは強烈だが、3人のMFは一か所に固まる傾向があり、ウイングも素早く下がってこないため、中盤のワイドなエリアにスペースが生じやすい。そこを起点に周囲の選手が飛び出す形を何度も作れば、コートジボワールの守備を後手に回らせやすくなる。それでも、コロ・トゥーレとバンバが万全の状態であれば、バイタルエリアでの対応力は格段に上がる。その牙城を崩すには、中盤から最終ラインの間に侵入する鋭さと精度が求められる。
ただ、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも見られた守備陣のクリアミスの多さは、このチームの大きな弱点と言えるだろう。バンバをはじめ、主力クラスにも致命傷になり得るイージーミスが散見される。日本としては、コートジボワールのそうした弱みにつけ込みたいところだ。それこそが、初戦勝利へのひとつの重要なポイントになるだろう。
取材・文:河治良幸
そこから正確にパスをつなぎ、アタッカーが前を向いてボールを持てば、果敢に仕掛けてビッグチャンスを作り出す。中盤でパスをつないでいる間、前線のポジション取りは流動的だ。ドログバが必ずしも中央に張っているとは限らず、両サイドのジェルビーニョとサロモン・カルーがいつの間にか左右を入れ替えていたりする。個人の突破や裏への飛び出しといったスイッチが入るのは、ボールが一度前線に収まってからだ。
こうしたつなぐスタイルの一方で、一発のロングボールをドログバが力強く収めるイメージもあるが、それはアクセントであり、攻め手を欠いた際の最終手段だ。中盤でのポゼッションからドログバが縦パスを引き出し、ジェルビーニョやトゥーレ・ヤヤに前を向かせるのはひとつの定型だ。「今回が最後のワールドカップだろう」と語る36歳のドログバが優先しているのは、周囲を生かすプレーだ。もちろんチャンスと見れば、自ら仕掛けもする。
トゥーレ・ヤヤの飛び出しとミドルシュート、ジェルビーニョのドリブルは、対戦相手にとって脅威になるだろう。ただ、フィニッシュの場面に顔を出す回数が多いのは、左ウイングに配置されるカルーだ。バイタルエリアに入り込む動きが得意で、ゴール前での冷静さもある。チェルシー時代の勝負弱いイメージは、2年前に移籍したリールで改善された感がある。トゥーレ・ヤヤ、ドログバ、ジェルビーニョだけではなく、ワイドのシャドーストライカーにも警戒が必要だ。
高い位置で攻撃が続けば、SBのセルジュ・オーリエとアルトゥール・ボカが攻め上がり、危険なクロスを入れてくる。とはいえ、まずは中盤のパスとドログバに入って来るボールを抑え、なるべくジェルビーニョやトゥーレ・ヤヤに前を向かせないことが重要になる。
守備に関しては、個々のプレスは強烈だが、3人のMFは一か所に固まる傾向があり、ウイングも素早く下がってこないため、中盤のワイドなエリアにスペースが生じやすい。そこを起点に周囲の選手が飛び出す形を何度も作れば、コートジボワールの守備を後手に回らせやすくなる。それでも、コロ・トゥーレとバンバが万全の状態であれば、バイタルエリアでの対応力は格段に上がる。その牙城を崩すには、中盤から最終ラインの間に侵入する鋭さと精度が求められる。
ただ、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも見られた守備陣のクリアミスの多さは、このチームの大きな弱点と言えるだろう。バンバをはじめ、主力クラスにも致命傷になり得るイージーミスが散見される。日本としては、コートジボワールのそうした弱みにつけ込みたいところだ。それこそが、初戦勝利へのひとつの重要なポイントになるだろう。
取材・文:河治良幸