今季のマインツに見られないチームとしての姿

後半戦開始から2戦連続の計3ゴールを挙げた武藤嘉紀だが、以降は沈黙が続いている。しかしマインツ浮上に向けて、彼の復活は欠かせない。下の2チーム(ハンブルク、ケルン)同様、チームのキーマンとなるのは日本人選手だ。 (C) Getty Images
「俺たちだって頑張っているんだ」
クラブはそう思っているだろう。だが、頑張っているのはみんな一緒だ。似たような状況、あるいはもっと苦しい状況から、マインツ以上のチーム作りをしているクラブが、実際にあるのだから……。
自分たちはミスをした。そこへの自省はなければならない。
マインツはこれまでの残留争いで、常にチームとしての姿を見せてきた。だが、今はそれが見られない。
キャプテンのシュテファン・ベルは、「それぞれの選手が輝くかどうかが大事ではないことに、選手たちが気付いてくれるのを祈っている。試合前に話していたことができないということが多い。チームとしてやっていかないと……」と警鐘を鳴らしていた。
一人ひとりが別々にではなく、チームとしてどのように体現していくことが求められている。
ミスを認め、ビジョンを示し、その上でファンにサポートを呼びかけなければならないのではないだろうか。負けが続くと、うまくいかないのは当然のこと。頑張ろうとしても、空回りしてしまう。苦しい、苦しい時期だ。監督も選手も、何とかしようと必死である。
そうした時だからこそ、支え合う関係が、何より大切となる。
支え合うとは、甘えを許すということではない。ひとりでは何もできない。だが、「誰かがやってくれる」と思う人間がひとりでもピッチにいたら機能しない。一人ひとりが現実と向き合い、自分のやるべきことを明確にし、そして共通の目的に向かって肩を組む。
その先に、「明日」があるはずだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
クラブはそう思っているだろう。だが、頑張っているのはみんな一緒だ。似たような状況、あるいはもっと苦しい状況から、マインツ以上のチーム作りをしているクラブが、実際にあるのだから……。
自分たちはミスをした。そこへの自省はなければならない。
マインツはこれまでの残留争いで、常にチームとしての姿を見せてきた。だが、今はそれが見られない。
キャプテンのシュテファン・ベルは、「それぞれの選手が輝くかどうかが大事ではないことに、選手たちが気付いてくれるのを祈っている。試合前に話していたことができないということが多い。チームとしてやっていかないと……」と警鐘を鳴らしていた。
一人ひとりが別々にではなく、チームとしてどのように体現していくことが求められている。
ミスを認め、ビジョンを示し、その上でファンにサポートを呼びかけなければならないのではないだろうか。負けが続くと、うまくいかないのは当然のこと。頑張ろうとしても、空回りしてしまう。苦しい、苦しい時期だ。監督も選手も、何とかしようと必死である。
そうした時だからこそ、支え合う関係が、何より大切となる。
支え合うとは、甘えを許すということではない。ひとりでは何もできない。だが、「誰かがやってくれる」と思う人間がひとりでもピッチにいたら機能しない。一人ひとりが現実と向き合い、自分のやるべきことを明確にし、そして共通の目的に向かって肩を組む。
その先に、「明日」があるはずだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。