【番記者通信】CL決勝で実現した「マドリードダービー」の歴史と魅力|R・マドリー

カテゴリ:メガクラブ

パブロ・ポロ

2014年05月22日

勢いはリーガを制したアトレティコに。

国王杯を含め今シーズンは4度対戦し、マドリーの2勝1分け1敗だ。 (C) Getty Images

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 今回のCL決勝でも、ピッチ内外でライバル意識を剥き出しにした激しい争いが繰り広げられるだろう。よりタイトルを欲しているのは、CL優勝歴が9回あるマドリーのほうだ。マドリーは今シーズンのリーガ・エスパニョーラで3位に終わり、しかもアトレティコに戴冠を見せつけられた屈辱に加え、「デシマ」という悲願があるからだ。
 
 そう、デシマはマドリーにとってオブセッションとも言えるもので、クラブもファンも、02年の前回優勝からずっと「デシマ」を唱えているのだ。
 
 その意味では、アトレティコには気軽さがある。CLの決勝進出など開幕前には考えもよらなかったことで、デシマに取り憑かれたマドリーのような重圧はない。
 
 アトレティコはクラブ史上最高のシーズンを送ったと、私はそう思っている。最大の功労者はシメオネだ。クラブOBでもあるシメオネが監督になったとき(11年11月)、アトレティコは残留を争うほど低迷していたが、そのときの主力が9人も残っているのだ。
 
「チョロ」(シメオネの愛称)はチームを支配していた後ろ向きの思考を、純粋な野望に変えた。ハードワークがアトレティコのすべてを改善し、現在彼らよりも組織的に好守が機能しているチームは世界中を見渡してもないだろう。
 
 守備組織は完成の域に達し、ボールを繋いで攻めることもできる。そしてセットプレーの強さと、労を惜しまない11人全員の献身が最大の持ち味だ。リーガ最終戦で負傷したジエゴ・コスタは間に合わないかもしれないが、勢いはアトレティコにある。
 
 ファイナルの夜、マドリードの街からは人影が消えるだろう。この街の長い歴史のなかで、ここまでひとつの試合に人々が興奮を覚えたことはなかった。政治家は危惧している。決勝翌日の日曜日に実施される欧州議会選挙は、高い投票率が見込めないだろうと。勝ったほうのファンは宴で投票どころではなく、負けたほうは家から出ないからだ。
 
 歓喜と失望に二分されるマドリード。これこそがサッカーの喜びでもある。今週末のマドリードは、政治どころではないのだ。
 
【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。
 
【翻訳】
豊福晋
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