「蹴った瞬間にゴールを確信した」(ジダン)。

前のシーズンより銀河系軍団の構築に着手したR・マドリー。フィーゴとジダンが同じクラブでプレーするのも凄いことだが、さらに翌シーズンにはロナウドが到来し、最強軍団へと登り詰めていく。 (C) SOCCER DIGEST
レアル・マドリーとアトレティコ・マドリーの「マドリードダービー」となった2013-14シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝。同国対決では5回目、ダービー対決は初という記念のカードである。
アトレティコ・マドリーはこれまでのクラブの歴史において、決勝に進出したのが1973-74シーズンの一度きりで、この時は再試合の末にバイエルンに敗れている。
対するレアル・マドリーは、チャンピオンズ・リーグ(カップ)がスタートした1955年からの5連覇を含む計9回という最多優勝回数を誇っている。とはいえ、そんな偉大なクラブでも、最後の戴冠は2001-02シーズンとかなり以前のことだ。
12年前の記憶。しかしそれは、決して薄れることも、色あせることもない。偉大なフランス人選手が放った歴史的な一撃が、毎年、欧州王者を決める最後の戦いが近づくたびに、人々の脳裏に鮮やかに蘇るからだ。
ここでは、その伝説の一戦、伝説のゴールを、当時の週刊サッカーダイジェストのレポートより改めて紹介しよう。
――◆――◆――
スコットランド・フットボールの聖地、ハンプデン・パーク。長い歴史のなかで幾多の名場面、名ゴールを生み出してきた劇場だ。試合の翌日、スコットランドのテレビ局がひとつの視聴者アンケートを実施した。ずばり、
「ジネディーヌ・ジダンの決勝点はハンプデン・パーク史上最高のゴールか、否か」
である。果たして、YES=72パーセント、NO=28パーセント。辛口で有名なスコットランド人でさえ、完全にシビれてしまったようだ。
「いい角度でインパクトできたね。蹴った瞬間にゴールを確信したよ。どうしても欲しかったこのタイトルを、自分のゴールで導くことができたんだから、こんなに嬉しいことはない」
チャンピオンズ・リーグ決勝、3度目のチャレンジで見事に殊勲者となったジダンは、珍しく顔を紅潮させながら、ファインゴールを回顧した。
R・マドリーはシーズンを通して煮詰めてきた豪華な陣容をスタメンに散りばめてきた。しかもイバン・エルゲラを最終ラインに組み込みクロード・マケレレをワンボランチにし、一発勝負でゴールを狙う布陣に。
一方、厳しかったのはレバークーゼンだ。直前にブンデスリーガとリーグカップを取り逃し、守備の要イェンス・ノボトニーがケガで欠場、さらに左サイドのゼ・ロベルトが出場停止だった。英国ブックメーカーのオッズは、R・マドリーの勝利が2倍でレバークーゼンが6倍。妥当な事前評価だったと言わざるを得ない。
ビッグバウト特有の雰囲気に飲みこまれたのか、序盤は両雄ともに固さが見られる。9分、ロベルト・カルロスのロングスローからラウールがラインを突破し、あっけなくR・マドリーが先制点を奪うが、レバークーゼンも負けじと14分、CKからルッシオが豪快なヘッドに同点に。にわかにペースが上がっていく攻防。ここで積極的に仕掛けていったのは、スケールダウンしているはずの、赤き精鋭たちだった。
アトレティコ・マドリーはこれまでのクラブの歴史において、決勝に進出したのが1973-74シーズンの一度きりで、この時は再試合の末にバイエルンに敗れている。
対するレアル・マドリーは、チャンピオンズ・リーグ(カップ)がスタートした1955年からの5連覇を含む計9回という最多優勝回数を誇っている。とはいえ、そんな偉大なクラブでも、最後の戴冠は2001-02シーズンとかなり以前のことだ。
12年前の記憶。しかしそれは、決して薄れることも、色あせることもない。偉大なフランス人選手が放った歴史的な一撃が、毎年、欧州王者を決める最後の戦いが近づくたびに、人々の脳裏に鮮やかに蘇るからだ。
ここでは、その伝説の一戦、伝説のゴールを、当時の週刊サッカーダイジェストのレポートより改めて紹介しよう。
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スコットランド・フットボールの聖地、ハンプデン・パーク。長い歴史のなかで幾多の名場面、名ゴールを生み出してきた劇場だ。試合の翌日、スコットランドのテレビ局がひとつの視聴者アンケートを実施した。ずばり、
「ジネディーヌ・ジダンの決勝点はハンプデン・パーク史上最高のゴールか、否か」
である。果たして、YES=72パーセント、NO=28パーセント。辛口で有名なスコットランド人でさえ、完全にシビれてしまったようだ。
「いい角度でインパクトできたね。蹴った瞬間にゴールを確信したよ。どうしても欲しかったこのタイトルを、自分のゴールで導くことができたんだから、こんなに嬉しいことはない」
チャンピオンズ・リーグ決勝、3度目のチャレンジで見事に殊勲者となったジダンは、珍しく顔を紅潮させながら、ファインゴールを回顧した。
R・マドリーはシーズンを通して煮詰めてきた豪華な陣容をスタメンに散りばめてきた。しかもイバン・エルゲラを最終ラインに組み込みクロード・マケレレをワンボランチにし、一発勝負でゴールを狙う布陣に。
一方、厳しかったのはレバークーゼンだ。直前にブンデスリーガとリーグカップを取り逃し、守備の要イェンス・ノボトニーがケガで欠場、さらに左サイドのゼ・ロベルトが出場停止だった。英国ブックメーカーのオッズは、R・マドリーの勝利が2倍でレバークーゼンが6倍。妥当な事前評価だったと言わざるを得ない。
ビッグバウト特有の雰囲気に飲みこまれたのか、序盤は両雄ともに固さが見られる。9分、ロベルト・カルロスのロングスローからラウールがラインを突破し、あっけなくR・マドリーが先制点を奪うが、レバークーゼンも負けじと14分、CKからルッシオが豪快なヘッドに同点に。にわかにペースが上がっていく攻防。ここで積極的に仕掛けていったのは、スケールダウンしているはずの、赤き精鋭たちだった。