「正直、もう過去の栄光なので、いつまでも浸っていられない」
こうしたチームファーストの献身的なプレーが、ついに実を結ぶ瞬間がやって来た。後半アディショナルタイム2分、MF田部井涼(3年)からのクロスをヘッドでゴール前に落とすと、飯島が受けてシュート。これを相手DFがブロックすると、こぼれたボールが榎本の目の前に転がって来た。
「感覚なのですが、あのポジションにいたらボールが転がって来た。夢中でシュートを打ったら、相手の股を抜くことができた」
榎本の左足から放たれたシュートがゴールに突き刺さる。ゴールを見届けると、榎本はバックスタンドの前橋育英応援団に向かって猛ダッシュ。埼玉スタジアムは歓喜の輪と大歓声に包まれた。
そしてタイムアップのホイッスルが鳴り響くと、榎本は人目もはばからず号泣した。
「前橋育英に来て良かった。すごく成長できた1年間でした」
試合後、殊勲の2年生ストライカーは素直な心境を口にしたが、インターハイ同様にすぐに来年、自分に伸しかかる責務を感じ取っていた。
「正直、もう過去の栄光なので、いつまでも浸っていられない。来年は僕が前への姿勢を見せてチームを引っ張って行きたい。僕らの学年は元気がいいし、攻撃陣が良いので楽しみです。期待して下さい」
早くも飛び出した来年度への決意表明。もう『シンデレラストーリー』は終わった。ここからは文字通り『エース』としての物語を紡いでいく1年となる。その心構えはもうすでにできている。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
「感覚なのですが、あのポジションにいたらボールが転がって来た。夢中でシュートを打ったら、相手の股を抜くことができた」
榎本の左足から放たれたシュートがゴールに突き刺さる。ゴールを見届けると、榎本はバックスタンドの前橋育英応援団に向かって猛ダッシュ。埼玉スタジアムは歓喜の輪と大歓声に包まれた。
そしてタイムアップのホイッスルが鳴り響くと、榎本は人目もはばからず号泣した。
「前橋育英に来て良かった。すごく成長できた1年間でした」
試合後、殊勲の2年生ストライカーは素直な心境を口にしたが、インターハイ同様にすぐに来年、自分に伸しかかる責務を感じ取っていた。
「正直、もう過去の栄光なので、いつまでも浸っていられない。来年は僕が前への姿勢を見せてチームを引っ張って行きたい。僕らの学年は元気がいいし、攻撃陣が良いので楽しみです。期待して下さい」
早くも飛び出した来年度への決意表明。もう『シンデレラストーリー』は終わった。ここからは文字通り『エース』としての物語を紡いでいく1年となる。その心構えはもうすでにできている。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)