反撃手段が大きなポイント。すがるべきはセットプレーか
もっとも、グループリーグ突破を果たすには、初戦で少なくとも勝点1を獲得する必要がある。決勝トーナメントへの現実的なシナリオはコロンビアに引き分け、セネガルに勝って、ポーランドから勝点1を奪うというものだろうか。アフリカ勢との過去の対戦成績は2勝1敗だけに、コロンビアから勝点を拾えれば、セネガルとの2戦目は自信を持って臨めるはずだ。
だが、“相性最悪”な南米勢のコロンビアから勝点を獲得できるイメージが現時点では湧かない。J・ロドリゲスに加え、輝きを取り戻したFWのラダメル・ファルカオ、圧倒的なスピードでサイドを切り裂くファン・ギジェルモ・クアドラードらタレント揃いで圧倒されそうだ。
ポーランドにもロベルト・レバンドフスキ、セネガルにもサディオ・マネというヨーロッパのメガクラブ(前者はバイエルン、後者はリバプール)で活躍するアタッカーがいる。今の日本に彼らを抑え込めるだけの守備力があるとは到底言えないし、3戦全敗も十分にありえるだろう。
ポーランド、コロンビア、セネガルからすれば、日本は勝点3が計算できる相手である。絶対に負けるわけにはいかないというプレッシャーがあるわけだが、もしかすると、そこに日本の勝機があるかもしれない。つまり、グループHの「3強1弱」というパワーバランスを崩せれば日本の希望が膨らむというわけだ。
サッカーは戦力だけで勝敗が決まるスポーツではない。メンタル(心理)もかなり重要で、だからこそ格上3か国の動揺を誘えるかがカギになる。初戦でコロンビアに勝点3を与えれば、それは順当以外の何物でもなく、「やはり日本は弱い」と無風状態になるだけだ。それでは意味がない。コロンビアから勝点を奪って「3強1弱」の勢力図を壊さないかぎり、セネガルにもポーランドにもプレッシャーをかけられない。
では、コロンビアに勝てないまでも、どう引き分けに持ち込むか。模範とすべきは10年ワールドカップで堅守速攻のスタイルを貫いた日本だが、当時の中澤佑二と田中マルクス闘莉王に匹敵するCBコンビが見当たらない。少なくとも1失点は覚悟すべきで、となると、リードされた際の反撃手段がポイントになる。
ただ、今の日本にはオフェンス面でこれといった武器がない。11月にブラジルやベルギーと戦った欧州遠征の戦いぶりからも分かるとおり、強豪国相手には流れの中からチャンスを作れず、先制されれば“ジ・エンド”の印象が強かった。
ならば、すがるべきはセットプレー。手っ取り早く得点力向上を目指すなら、ハリルホジッチ監督は優秀なキッカーを“飛び道具”として懐にしたい。浦和の柏木陽介、C大阪の清武弘嗣、はたまた磐田の中村俊輔……。いずれにしても、対戦相手に「FKを与えてはいけない」と警戒されるキッカーが必要だ。
だが、たとえ“飛び道具”を手にしたとしても、勝てる保証はないだろう。それほど、初戦で戦うコロンビアは強敵だ。素直で規則正しい日本のサッカーは、狡猾な南米勢のそれとは相性が悪すぎる。いわゆるマリーシアで、ハリルジャパンはコロンビアに到底敵わない。
どちらかと言えば、韓国が入ったグループGのほうが希望を持てたかもしれない。なぜなら、日本は過去“欧州2か国と同居”したワールドカップ(02年、10年)でいずれも16強入りをしているからだ。ドイツのようなサッカー大国とワールドカップで戦えるのがむしろ羨ましいと思うのは、果たして著者だけだろうか。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
だが、“相性最悪”な南米勢のコロンビアから勝点を獲得できるイメージが現時点では湧かない。J・ロドリゲスに加え、輝きを取り戻したFWのラダメル・ファルカオ、圧倒的なスピードでサイドを切り裂くファン・ギジェルモ・クアドラードらタレント揃いで圧倒されそうだ。
ポーランドにもロベルト・レバンドフスキ、セネガルにもサディオ・マネというヨーロッパのメガクラブ(前者はバイエルン、後者はリバプール)で活躍するアタッカーがいる。今の日本に彼らを抑え込めるだけの守備力があるとは到底言えないし、3戦全敗も十分にありえるだろう。
ポーランド、コロンビア、セネガルからすれば、日本は勝点3が計算できる相手である。絶対に負けるわけにはいかないというプレッシャーがあるわけだが、もしかすると、そこに日本の勝機があるかもしれない。つまり、グループHの「3強1弱」というパワーバランスを崩せれば日本の希望が膨らむというわけだ。
サッカーは戦力だけで勝敗が決まるスポーツではない。メンタル(心理)もかなり重要で、だからこそ格上3か国の動揺を誘えるかがカギになる。初戦でコロンビアに勝点3を与えれば、それは順当以外の何物でもなく、「やはり日本は弱い」と無風状態になるだけだ。それでは意味がない。コロンビアから勝点を奪って「3強1弱」の勢力図を壊さないかぎり、セネガルにもポーランドにもプレッシャーをかけられない。
では、コロンビアに勝てないまでも、どう引き分けに持ち込むか。模範とすべきは10年ワールドカップで堅守速攻のスタイルを貫いた日本だが、当時の中澤佑二と田中マルクス闘莉王に匹敵するCBコンビが見当たらない。少なくとも1失点は覚悟すべきで、となると、リードされた際の反撃手段がポイントになる。
ただ、今の日本にはオフェンス面でこれといった武器がない。11月にブラジルやベルギーと戦った欧州遠征の戦いぶりからも分かるとおり、強豪国相手には流れの中からチャンスを作れず、先制されれば“ジ・エンド”の印象が強かった。
ならば、すがるべきはセットプレー。手っ取り早く得点力向上を目指すなら、ハリルホジッチ監督は優秀なキッカーを“飛び道具”として懐にしたい。浦和の柏木陽介、C大阪の清武弘嗣、はたまた磐田の中村俊輔……。いずれにしても、対戦相手に「FKを与えてはいけない」と警戒されるキッカーが必要だ。
だが、たとえ“飛び道具”を手にしたとしても、勝てる保証はないだろう。それほど、初戦で戦うコロンビアは強敵だ。素直で規則正しい日本のサッカーは、狡猾な南米勢のそれとは相性が悪すぎる。いわゆるマリーシアで、ハリルジャパンはコロンビアに到底敵わない。
どちらかと言えば、韓国が入ったグループGのほうが希望を持てたかもしれない。なぜなら、日本は過去“欧州2か国と同居”したワールドカップ(02年、10年)でいずれも16強入りをしているからだ。ドイツのようなサッカー大国とワールドカップで戦えるのがむしろ羨ましいと思うのは、果たして著者だけだろうか。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)