進路が決まり、覚悟も決まった。あとは高校生活最後の選手権で持ち前のゴールセンスをいかんなく発揮し、悔いのない戦いをするのみだ。

「一番は得点を多く奪いたい。僕が点を取って、『安藤瑞季はさすがだな』と思わせるプレーをしたいです」
 
　選手権に向けてそう意気込みを語った安藤。しかしながら彼が牽引する長崎総科大附は、強豪揃いの激戦区に入った。

　初戦の相手は元Jリーガーの岡山哲也監督率いる中京大中京で、この難敵を突破しても清水桜が丘と高川学園の勝者と当たる。清水桜が丘は初出場ながら、かつて選手権で３度の優勝を果たし、数多くのJリーガーを輩出した名門・清水商と庵原が2013年に統合して生まれた学校。指揮官がその清水商を指揮してきた名将・大瀧雅良監督となれば、簡単な相手ではない。さらにここを突破しても３回戦は前回王者・青森山田、準々決勝は夏のインターハイ王者・流経大柏と対峙する可能性がある。

　とはいえ、こうした列強との連戦は大歓迎だと言う。モチベーションは大会が近づくにつれ高まる一方で、自身のゴールで勝つことしか考えていない。
 
「もっとゴール前で神経を研ぎ澄まして、こぼれ球に0.01秒でも早く反応したい。そこの差で自分のフォワード人生が分かれると思うので、常に研ぎ澄まして、どんなときも狙える嗅覚、射抜く力を発揮したいです。僕らがいるゾーンが厳しいのは間違いない。でもどうせやるなら強い相手とやって勝つほうが気持ちいいので、望むところです」
 
　檜舞台で母校を快進撃に導き、セレッソ行きに相応しい逸材であることを証明できるか。安藤の“最後の冬”が、もうすぐ幕を開ける。

取材・文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）