【セルジオ越後】今季のJ1総括――鹿島は最後に“テンパった”と思うよ

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェスト編集部

2017年12月15日

90分間、フルで使わなくてもいい。ベンチではダメ。

違和感を覚えたのは、小笠原がずっとベンチに控えていたこと。そのスリリングなシチュエーションでは、必要な存在だったのではないだろうか。写真:徳原隆元

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 一方、リーグ連覇と節目の20冠目を逃したアントラーズは、結局、今季は無冠に終わったね。すでに述べたとおり、最終節を迎える段階で、首位に立っていたのはアントラーズだ。有利だったのは事実。でも、追われる立場には、独特の難しさがあるんだ。『勝てば優勝を決められる』という状況を、『ここで勝たなければ』というプレッシャーに感じてしまえば、どこか硬くなって、力を出し切れないのかもしれない。
 
 今季の途中にコーチから監督に昇格した大岩にとっても、優勝争いは初めての経験だ。最後の2試合、アントラーズはいつも通りに戦おうとしていたように見えた。それはそれでひとつのアプローチだ。でも、タイトルを掴むためには、〝ここで獲りに行く〞と勝負に出るのも必要な気がしてならないんだ。
 
 違和感を覚えたのは、百戦錬磨の小笠原が、ずっとベンチに控えていたこと。9月に入ってから、小笠原はメンバーに名を連ねるけど、起用されることはなかった。その点でも、大岩がいつも通りに最終盤を戦おうとしていたことがよく分かる。
 
 でも、アントラーズで何度もタイトル獲得に貢献し、同じくらい、悔しい想いも味わってきた小笠原が、あのスリリングなシチュエーションで、本当に必要なかったのか。彼を出して、それでも優勝できなかったほうが、よっぽど悔いが残らなかったのではないかと思うよ。
 
 約3か月もの間、小笠原はベンチに甘んじたままだった。メンバーから外されないのは、戦力外ではないと判断されているからだろう。それなら、どこかのタイミングで起用すべきだったのではないか。90分間、フルで使わなくてもいい。ベンチではダメ。精神的に柱となる小笠原がピッチにいることで、チームはまた一段と引き締まったはずだ。
 
 若手が育ってきているとはいえ、最後の2試合、はっきり言ってアントラーズは“テンパった”と思う。ジュビロ戦もあれだけチャンスを作っておきながら1点も取れないんだからね。最後は植田を前線に上げてパワープレー? アントラーズらしくないね。
 
 大岩にとっても、良い勉強になったのではないかな。これも貴重な経験として、来年はどんな采配を見せるか、今から楽しみだよ。フロンターレにしても、連覇を目標にするとか、貪欲に次のタイトルを狙っていってほしいね。
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