伊藤達哉に久保建英、堂安律… 高い技術力を持つ未来のA代表に相応しい戦術は?

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2017年12月12日

東京五輪世代にはどんな戦術が相応しいのか。

ブンデスリーガ6節レバークーゼン戦(●0-3)のハンブルクの布陣。伊藤は終盤に起用され、ブンデスデビュー。左ウイングに入ると、キレのあるドリブルを披露した。

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 伊藤に限らず、久保建英、堂安律、三好康児など、東京五輪世代以下には狭いスペースでのドリブルやコンビネーションプレーを得意とし、小柄で状況判断に優れたアタッカーが大勢いる。
 
 では、彼らが主軸となる未来のA代表には、どんな戦術が相応しいのだろうか。
 
 現在のA代表で重視されるのは、「デュエル」と「突進力」だ。11月の欧州遠征メンバーからは、本田圭佑、香川真司、小林祐希が落選。いわゆるポゼッション派の選手はどんどん外れていく。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の方針は理解できるし、プレスとカウンター、それにセットプレーを柱とする戦い方は、ワールドカップ本番をイメージしやすい。今の日本の実力でベスト8を目指すなら、現実的な戦略と言える。
 
 しかし、このやり方で将来、日本が世界の頂点に立つ姿を想像できるかと言えば、ノーだ。U-17、U-20のワールドカップを見ても感じたが、イングランドやフランスのように、移民を加えてフィジカルモンスター揃いになった強豪国と、同じスタンダードで戦うのは分が悪すぎる。
 
 ロシア・ワールドカップ後の日本代表を考えた時、やはりある程度は天秤の傾きをポゼッション側に戻す必要があるだろう。東京五輪世代以下の小兵アタッカーは隙間でボールを受け、狭いスペースで仕掛けるのが得意だ。ならば縦へのラフなボールを減らし、丁寧にビルドアップをしたほうがいい。パスを回すためのポゼッションではなく、ゴールから逆算したポゼッション─。ボールを保持する間に守備を固められても、それを切り裂けるだけの技術と判断力を、次の世代は秘めている。
 
 もちろん、DFやGKはデュエルをさらに向上させなければいけないが、現在のベースを引き継ぎつつ、伊藤のようなアタッカーの才能を活かす方策も考えておくべきだ。決して気の早い話ではない。今から真剣に議論しなければ、次の4年間の方向性が掴めなくなってしまう。
 
文●清水英斗(サッカーライター)
 
※『サッカーダイジェスト』2017年11月23日号(同11月9日発売)「サムライ・タクティクス」より抜粋。
 
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