では、社長自身とサッカーとの距離感はいかほどだったのか。
 
「ほとんど接点はないですし、それこそ昔学校の授業でプレーした程度ですよ。ただ、スポーツを観るのが本当に大好きで、なんでも観ます。やれゴルフのマスターズだ、やれテニスなら錦織圭くんだと、朝方の放送でもずっと観ていますから。ジャパネットとしてもフィギュアスケートの大会に広告を出していて、サッカーだけでなくバレーボールも支援してきました。会社を引き継いだいまの社長（ご子息）もスポーツの役割を理解しています。いつも自然と、周りにスポーツがありましたね」
 
　長崎総合科学大附高サッカー部を率いる小嶺忠敏監督が牽引車となり、島原商高や国見高の躍進もあって、長崎は全国でも有数のサッカーどころとして君臨してきた。日本代表にも数多の名手を送り込んできたが、トップカテゴリーではさしたる結果を残せていない。
 
「ご存知のように長崎は、静岡と並んでサッカー王国と呼ばれていました。いまがそうかと言えば違ってきているのかもしれません。立ち位置を原点に戻すじゃないけど、長崎はサッカーどころで、サッカーチームが感動を与えてきたことを、Ｖ・ファーレンがいま一度示したいですね。子どもたちの夢であったり、高齢化社会のなかで、おじいちゃんやおばあちゃんの生きがいになっていきたい。それによって長崎が元気になり、地方創生のなかで我々サッカークラブが役に立っていく。そこは勝った負けただけではなく、最終的には、ひとの一回きりの人生を幸せなものにする存在に、Ｖ・ファーレンがなれればいいなと思っています」
 
　そして、長崎のＪクラブだからこそ担うべき役割があると、力を込める。
 
「長崎は被爆の地ですから、平和を発信していきたいですね。これは広島と長崎にしかできないんです。実は今日も事務所でバタバタしていたんですが、何十種類もの新ユニホームのデザインをチェックしていました。平和を発信するユニホームです。シンボルとなれるようなものを作っていますので、ぜひ楽しみにしていてください」