【現役の眼】元日本代表MF、橋本英郎が解き明かす「流行する3-4-2-1の狙いと効きめ」

カテゴリ:特集

橋本英郎

2017年09月26日

流行ったのは、広島と浦和によるところが大きい。

広島と浦和で3-4-2-1を駆使した“ミシャ”ペトロビッチ。その機能性を模倣するチームが相次いだ。写真:徳原隆元

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 なぜこのフォーメーションがJリーグで多く採用されているのか、重宝されているのか。理由は大きく分けて3つあると思います。
 
 まずはひとつ目。Jリーグでこのフォーメーションが流行ったのは、先述の広島と浦和の2クラブによるところが大きいと考えています。
 
 広島は、結果的にJ2に降格する年(2007年)からこのフォーメーションを採用していました。採用した当初は、自陣で相手にボールを取られてそのまま簡単にゴールされることが多く、その影響でJ2に落ちてしまいました。
 
 しかしJ2では無類の強さを見せ、勝点を100も積み上げて昇格しました、その後そのままJ1でも圧倒的な力を示しましたが、なかなかタイトルまでは届かなかったところを森保一監督が整備して、毎年のように覇権争いを繰り広げて、いくつかのタイトルを獲りました。
 
 その広島の土台を作り上げたミハイロ・ペトロビッチ監督が浦和を率いることになり、一時期の低迷から脱し、優勝戦線に復活。そして2016年にはルヴァンカップ制覇を果たしました。
 
 Jリーグのトップを走り、結果を残しているチームのサッカーをモデルに、他のJクラブが積極的に採用していった。そう考えるのが自然な流れだと思います。
 
 2点目は、より多くの選手で守りを固められる、守備重視の布陣ということです。J2での採用クラブが急増したのは、まさにこのポイントが大きな理由だと思っています。
 
 守備時は、本来3人のセンターバックで守るところを4人の中盤の両サイド(ウイングバック)がサイドバックのような位置まで、ポジションを下げて守ります。そのため、守備時は5バックだと見る向きが強いのです。
 
 FW1枚を残して、中盤は2ボランチとトップ下のふたりで守り、低い位置で9人、ゴールキーパーを加えて10人で守ります。
 
 ひとがたくさんいるので、味方同士の距離感が近くなり、当然、相手が攻めるスペースは少なくなります。ひとりの選手が突破されても、次の選手が素早くカバーできるのが特徴です。
 
 攻撃時には、逆にディフェンスラインは3人で守るので、残りの選手で攻められ、攻撃に枚数を多く割けます。
 
 そしてもう3つ目の理由は、「日本人の特徴に合っているから」です。
 
 それは、体格に恵まれた選手が少なく、ポゼッションに特化しているセンターバックや、逆にポゼッションは苦手だけど、守ることだけが得意な選手がいる。勤勉に繰り返しボールにアタックでき、味方選手のために汗をかくことを厭わない──。まさにそうした点です。
 
 これは、ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督が気づいた点でもあると思いますが、日本人の特徴であり、特長でもあると思います。
 
 採用しているチームによって考え方に差がありますが、攻撃時には3枚のセンターバックもオーバーラップして、サイドバックのような動きをする場合があります。
 
 逆にオーバーラップが苦手な「ザ・センターバック」な選手は、相手カウンターに備え、密着マークをしていたりします。
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