【ACL】川崎はなぜ痛恨の逆転負けを喫したのか? キーマンたちの証言で振り返る舞台裏

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2017年09月14日

同点に追いつかれた後に反撃する力は…。

数的不利になった後、守備陣は奮闘。しかし、結果的に4失点を喫した。(C)SOCCER DIGEST

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 しかし、川崎には“守り勝つ”経験値が明らかに不足していた。
 
 後半開始から15分ほどは身体を張った守備で相手の猛攻を凌いだが、63分に浦和がCBのマウリシオを下げてFWのズラタンを投入すると、徐々に首が回らなくなる。CFの小林は前線で孤立し、カウンターのチャンスも作れない。谷口も苦しい対応の連続だったと述懐する。
 
「相手も人数をかけていましたし、誰が見るんだという部分がちょっとずつあやふやになってしまった。そういう対応が続いてピンチが増えました。(第1戦のリードがあったから)最悪1点、2点やられてもという考えはありました。そこは余裕を持ってやろうと。そういう流れで進めたかったのですが……」
 
 65分には足首を痛めていたという大島に代えてCBのエドゥアルドを入れ、谷口をCBからボランチに上げる応急処置を行なった。だが、流れは一向に変わらない。そして70分にCKからズラタン、84分にラファエル・シルバにネットを揺らされ、トータルスコアで同点に持ち込まれると、「3点目を取られると、時間的にもこちらの状況的にも不利になると思っていた。延長戦までのプランは考えられなかった」(谷口)と、この時点で川崎に形勢を逆転する力は残っていなかった。
 
 R・シルバのゴールから2分後、森脇良太のクロスを高木俊幸に絶妙なループで決められ、勝負は決した。
 
 中村を下げるべきではなかったという意見はある。大島が負傷を抱えていたなら、先に大島をベンチに下げて中村をボランチに回す選択肢もあった。もしくは家長昭博を下げ、中村をサイドに回す手もあった。
 
 だが、「すべては結果論。自分がいても(結果は)同じだったかもしれない。あれで守り切れていたら別に問題はなかった。結果になってからこういう風に言われるのはしょうがないですが……」と、中村が唇を噛んだように、今後に向けて考えるべきはこの敗戦をどう糧にするかだ。
 
 大一番、それも劣勢を強いられた時に凌ぎ切る術とメンタルをいかに発揮するか。リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯とまだ三冠の可能性を残すなか、同じような苦しい状況は起こり得るはずだ。その時に、この悔しさをチームの経験値として還元できるか。
 
 小林は「切り替えるのは大変ですが、これでチームが悪い方向に進むことだけは避けたい」と語り、中村は「どれだけ自分たちがファイティングポーズを取っていけるか」とチームに奮起を促す。勝負弱さを露呈してきた負の歴史に終止符を打つためにも、「自分たちの弱さ」(小林)を認識し、新たな一歩を踏み出せるか。この先に歓喜が待っていることを願いたい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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