ACLでMVPを受賞!柏木陽介が"浦和の男"になった「あのゴール」

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2017年11月26日

監督交代でチームは混乱し、柏木もスタメン落ちを告げられた。

浦和在籍2年目の11年シーズンはゼリコ・ペトロヴィッチ監督の戦術に馴染めず、スタメン落ちも。しかし、この経験で〝あること〞に気付いた。(C)SOCCER DIGEST

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 柏木が加入した10年は、フォルカー・フィンケ体制の2年目。ポゼッションに軸足を置き、攻撃を組み立てるスタイルに取り組んでいる最中だった。
 
 堅い守備と速攻を武器にしていたチームが、いわば真逆のスタイルを習得するわけだから、それ相応の時間と労力が必要になる。この頃、フィンケのスタイルは、まだ浸透していなかった。
 
 だが、それ以上に柏木が気になったのが、選手間に横たわる溝だった。
 
「来てみたら意外とバラバラというか、ロッカールームもすごい静かで……」
 
 指揮官はスタイルをチームに植え付けるうえで、山田直輝や原口元気といった技術に優れたアカデミー出身の10代を重用し、世代交代を推し進めていた。
 
 急激な若返りが図られたため、ベテランと若手のコミュニケーションがうまく取れていなかったのだ。
 
「僕もまだ22歳やったけど、20代半ばの選手が少なかったから、自分がなんとかしたいと思って。みんなに声をかけて、食事会や誕生日会をやりましょうって」
 
 チームの雰囲気は改善された。
 
 選手同士で話し合う機会も増えた。
 
 だが、それがすぐに成績に結びつくほど、サッカーは甘くない。
 
 柏木も右サイドハーフ、トップ下、ボランチと3つのポジションで奮闘したが、チームは中位から抜け出せなかった。
 
 10位でシーズンを終えた浦和は、再建を新体制に託すことを決める。
 
 だが、待っていたのは、J2に降格した1999年のような低迷だった。
 
―――◆―――◆―――
 
 どうしたらいいのか、まったく分からへん――。
 
 11年の初夏、柏木はピッチの上で途方に暮れていた。
 
 新シーズン、フィンケの後任に着いたのは、クラブのOBであるゼリコ・ペトロヴィッチだった。
 
 1対1での勝負やロングボールを奨励する新監督のスタイルは、コレクティブなパスサッカーを志向した前任者とは大きく異なるものだった。
 
 そのためチームは混乱し、開幕直後から低空飛行を続けた。柏木自身も、プレーに迷いが生じるようになる。
 
 指揮官は試合中、ポジションに留まることを求めたが、柏木は走り回ってリズムに乗るタイプ。プレー範囲を制限されて、自分を見失ってしまったのだ。
 
「自分は個人でどうにかするタイプじゃない。周りに生かされ、自分も生きるタイプだから、何をどうしたらいいのか迷ってしまって……」
 
 不調から抜け出せない柏木は6月下旬、スタメン落ちを告げられた。
 
 良いプレーができていないという認識はあった。自分自身がよく分かっていながら、これまでサブに降格した経験のなかった柏木は、不貞腐れてしまう。
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