【黄金世代】第3回・小笠原満男「衝撃のオノシンジ」(#2)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年06月22日

いまでも俺の前をずっと走ってる選手。

高2の秋、U-17ナショナルトレセンでは猛アピールを続けた。小野や稲本、高原らの存在は大きな刺激だったという。(C)SOCCER DIGEST

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 とりわけ、小野は別格だった。熱い想いを吐露する。
 
「最初の頃もそうだし、いまでも俺の前をずっと走ってる選手。ポジション的にも同じで、中盤の攻撃的なところをやっていたから、簡単に言えば、彼が出てて、俺が出れない。18歳でワールドカップに出たり、フェイエノールトに行って活躍したり、常に俺らの世代を先頭で引っ張っていた。イナとタカの3人でね。ずっと意識はしてるけど、どんどん遠くなっていく。彼らの活躍が嬉しいし、俺も負けたくないって思わせてくれる存在だね」
 
 高3の春に立ち上がったU-18日本代表では、少しずつステータスを高めていった印象だ。いつもメンバー入りはするが、清雲栄純体制下ではもっぱらベンチスタート。アジアユース選手権は予選でも本大会でも、あまり出番が回ってこなかった。
 
 小野に加えて、のちに鹿島アントラーズに同期入団する本山も急躍進を見せていた。
 
「もう実力が足りないから。モトとシンジが主力として出るのは、納得するしかなかった。誰がどう見ても巧いじゃない。だから、なんで俺が出れないんだって想いはなかったよ。大したことない選手だったら俺を使えよって思うかもしれないけど、彼らを見てたら出れないのはしょうがない。自分が努力するしかないと。それだけのタレントだからね、あのふたりは」
 
 転機は、フィリップ・トルシエの監督就任である。その後の2000年シドニー五輪、2002年日韓ワールドカップに至るまで、小笠原にとってはかならずしも相性のいい指揮官ではなかったが、いまとなってはその言動に賛同できる部分があるという。
 
「なにかにつけてワーワー言うし、やかましいひとだった。でもさ、日本人に足りないメンタリティーを呼び起こしてくれたんだなっていまは思うよね。当時はなんでそこまで言うのか、そこまでやるのかって思ってたけど、いまとなっては理解できる。
 
 十代の選手に対して、遠征にコックさんを連れていく必要があるのかとか、日本人に足りない表現の部分を強調したり。俺もそうだけど、日本人は淡々と内に秘めてやるタイプが多いじゃない。でももっと我を出せと。いずれ俺はその大事さをイタリアで痛感するんだけどね。日本人は恵まれすぎだってずっと言ってた。やれホテルがどうだ、水がどうだとか、食べ物がどうとか、テーピングがどうとか。A代表ならまだしも20歳の選手にそこまでは必要ないって、いっつも怒ってたね。いまじゃ理解できるし、いい監督だったんだと思う」

 
 ワールドユース直前、トルシエが黄金世代を連れて遠征したのが、開催地のナイジェリアと同じ西アフリカに位置するブルキナファソだった。

 フランス最先端のトレーニング施設であるクレールフォンテーヌに数日滞在し、本場ヨーロッパの格式と伝統を堪能した彼らを待っていたのは、想像をはるかに超える異世界。わたしはその遠征に同行し、彼らと同じホテルに滞在して密着した。

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