【東京V】元日本代表ボランチ、橋本英郎が解き明かす「チャンスゼロからの逆転劇」

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年06月11日

「繋げてしまうから繋ぐんやけど、そこで簡単に引っかかって」。

的確な状況判断からの絶妙パスで、決勝点をお膳立て。橋本はいぶし銀の輝きを放った。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 後半も流れは変わらない。むしろ、前がかりになっては致命的なカウンターを何度も食らい、大量失点を喫してもおかしくない悪循環に追い込まれた。名古屋のフィニッシュ精度の低さに助けられた格好だ。
 
 橋本は言う。
 
「監督としてはリスクを掛けるにしても、もっと敵のディフェンスラインの裏に選手が抜け出して、チャンスになるかならないかのところを狙ってほしかったと思うんです。でも、足下で繋ぎすぎてた。繋げてしまうから繋ぐんやけど、そこで簡単に引っかかって、向こうのカウンターに勢いをつけてしまった。あの時間帯、相手のほうがよく走ってるように見えたのは、ボールの奪われ方が悪すぎたからです」
 
 ロティーナ監督は51分、1トップを技巧とタフネスが売りのFW高木大輔から、強さと高さが自慢のFWドウグラス・ヴィエイラにチェンジする。にわかに流れが変わった。
 
「相手のCBのひとりはもともとボランチの選手で、ヘディングがあまり強くなかった。フォワードらしいキープのされ方をすると、どうしても奪いに行けない。ボランチの位置と最終ラインの位置とでは対応が変わってくるから、チャレンジってのは難しかったと思うんです。前半の大輔もそれなりに手こずらせてたとは思うけど、近い位置にフォローできる選手がいなかった。ドウとアランは意思疎通ができてるというか、すごく近い位置関係を築けてたし、こぼれ球をお互いが拾えるようになってた。それがだいぶ大きかったと思う」

 とはいえ、決定機には至らない。60分過ぎ、状況を打破すべく、指揮官に呼ばれたのが橋本だ。ホワイトボードを使い、コーチのイバン・パランコが細かな指示を伝える。
 
「ドウが入って好転はしたけど、まだ相手のテンポに合わせて繋ぎが多くなってて、どうしても引っかかってしまうと。相手のほうが得意とする形で同じように戦ってたんで、もっと裏にボールを出したりとか、そういうのをやってほしいと言われた」
 
 準備が整った矢先の65分、同点ゴールが生まれる。右サイドを抉ったアランのハイクロスを、ファーで待ち構えたドウグラスがドンピシャヘッドで合わせた。この日迎えた初めてのビッグチャンスをゴールに結びつけたのだ。
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