【プレー分析|今野泰幸】値千金の同点弾も、攻守に“中途半端”だった理由

カテゴリ:日本代表

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年06月08日

「ゴールに関しては、左サイドの崩しが完璧だった」

吉田→大迫とつなぐ間、3人目の動き出しで相手の背後をとった20分のシーン。惜しくもシュートは打てなかったが、狙い通りの崩しだった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 持ち味のボール奪取が成功したのは2回。しかし、ロストしたのも同じ回数をカウント。シュートはゼロと、本人は納得できない部分が多かった前半かもしれないが、見せ場がなかったわけでもない。
 
 20分、吉田麻也から大迫勇也に縦パスが入ると、相手の最終ラインの背後を突く動きを見せる。飛び出した今野に大迫がワンタッチで流す。惜しくもシュートは打ち切れなかったが、縦への速さを重視するハリルジャパンの攻撃を見事に体現する“3人目の動き”だった。
 
 二次攻撃に備えるため、セカンドボールを拾える位置でスタンバイするだけでなく、CFの大迫がひとつ落ちてきてできたスペースに、顔を出す場面は何度かあった。ゴールチャンスに絡む確率は低かったとはいえ、前への意識は少なからず見せていた。
 
 そのプレーが実ったのが、58分だ。左サイドで原口元気からのショートパスを受けた大迫が、オーバーラップを仕掛ける長友佑都にアウトサイドで流す。長友は相手のチェックをかわしてニアゾーンに侵入し、左足でクロスを供給。そこに走り込んで確実にゴールに流し込んだのが、今野だった。
 
「走り込んだらフリーだった。あのゴールに関しては、左サイドの崩しが完璧だった」
 
 チームを敗戦から救う同点弾も、今野はチームメイトの奮闘を称えるが、前半から見せていた前への意識を保ち、ここぞという勝負どころを見極めたファインゴールだった。
 
 試合後、指揮官は「今野は(怪我で)2か月プレーをしていなかった。今はコンディションを取り戻しつつある段階。まだトップフォームではない」と今野について言及したが、逆に言えば、万全の状態でないにもかかわらず、決定的な仕事をこなしたのだから、その点は高く評価してもいいはずだ。
 
 シリア戦は63分でお役御免となったが、6日後に控えるイラクとの決戦までに、どこまでトップコンディションを取り戻せるか。
 
「チームがうまく回るようなプレーをしたい。それが自分の特長でもあると思うので」
 
 味方の良さを引き出すのはもちろん、フィニッシュにも絡む。シリア戦は「そこまで満足のいく試合ではなかった」と話すが、最低限の仕事は果たしたのは間違いなく、イラク戦につながる活躍ぶりだった。
 
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