2010年の夏にセレッソ大阪から欧州へと旅立ち、ドルトムント在籍は５年目を迎えた。いまやチーム内でのステータスを確立した感さえある。
 
　加入時から香川を近くで見てきたリッケン氏は、「この５年間で大きく成長したと思う」と話し、こう続けた。
 
「最初に移籍してきた時は、日本の２部チームからで、若かった。でも、そのあとすぐにチームで『俺はここにいる！』と存在を示したよね。いきなり最大のライバルであるシャルケから２点をもぎ取ったんだ。ファンにしてみれば格別だったし、いまでも記憶に焼き付いているだろう」
 
　2012年の夏にマンチェスター・Ｕへと羽ばたいた。しかし、ドイツ以上にクラブ間の実力差は拮抗しており、さらに各国のスーパースターが揃うプレミアリーグで、苦闘が続いた。移籍初年度こそリーグ制覇を成し遂げたものの、２年目にアレックス・ファーガソンが退任すると、デイビッド・モイーズ体制下では次第に居場所がなくなっていった。
 
　逆風が吹くなか、2014年の夏に古巣ドルトムントに戻った香川。リッケン氏は、「イングランドでの経験が人間性を育むうえで、大切な時期になったんだと思う。帰ってきた時のシンジは成熟していたからね」と、マンチェスターでの日々にも意義はあったと指摘する。
 
　リードレ氏も成長した香川のピッチ内外での振る舞いを褒め称えた。
 
「シンジが戻ってきてくれた時は本当に嬉しかったよ。ピッチにいれば、確実に輝きを放つ。加えて、人間的にも素晴らしい。これは日本人選手全般に言えることだけど、規律に正しく、ここぞという場面で100％の力が出せる。シンジもまた、そういう選手だ」
 
　ドルトムントに唯一のビッグイヤーをもたらした両雄から賛辞を受けた香川。もはやクラブ史に残る名プレーヤーの仲間入りを果たしたと言っても、大袈裟ではないだろう。
 
　ならば、ドイツで活躍する他の日本人選手についてはどんな印象を抱いているのだろうか？