【U-20W杯で考える】U-20であってもW杯は夢舞台。ベトナムは選手もファンも200%で戦った

カテゴリ:連載・コラム

熊崎敬

2017年05月29日

ベトナム人ではない第三者にも十分に訴えかけるものがあった。

スタジアムで初出場のチームに声援を送るベトナムの人々。会場はちょっとしたお祭り騒ぎに。写真:熊崎 敬

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 ベトナムの大冒険、それはこのホンジュラス戦で終止符が打たれた。0-2。初勝利も初ゴールもお預けとなった。
 
 それでもベトナムは、過去2試合がそうだったように全力を出し切った。前半はホンジュラスを圧倒し、何度もゴールに肉迫したのだ。後半は疲れから足が止まり、カウンターで2失点したが、それでも最後までひたむきに戦う姿勢を貫いた。
 
 小さなベトナムの面々は厳しい局面でも逃げたりせず、敵の懐に潜り込んで前へ前へと進もうとした。それはベトナム人ではない第三者にも、十分に訴えかけるものがあった。
 
 試合後、ベトナムの記者に話を聞いた。
「どうして、こんなにいい試合ができたの? 何か特別な強化でもしているの?」
 すると記者は「いやいや」と笑いながら言うのだった。
「特別なことは何も。良かったのは選手もファンも200%出し切ったからだと思う。だって、ぼくらには初めてのワールドカップなんだから」
 やっぱり、ワールドカップは夢の舞台なんだね。U-20であっても。
 
 この日、全州ワールドカップ競技場はベトナムと化した。
 日頃、異国の地でひっそりと暮らしている人々が集結し、巨大なスタジアムを真っ赤に染め、見ているこちらが羨ましくなるくらいのお祭り騒ぎを繰り広げた。
 
 ベトナム人たちは忘れられない思い出を胸に、いつもの暮らしへと帰っていく。妖精たちが消え、やがて静寂の中でセネガルとエクアドルの試合が始まった。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)
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