【黄金世代】第1回・小野伸二「快進撃と悲劇~1999年の衝撃」(♯2)

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年04月26日

いつ落とされるか分からないって危機感があった。

1997年、SBSカップで優勝を飾ったU-18日本代表。小野が高3の頃だ。いま見てもけっこうな人数の名前と顔が一致するのでは? (C)SOCCER DIGEST

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 高3だった1997年の春、産声を上げたのがU-18日本代表だ。
 
 始動時は小野をはじめ、稲本潤一、高原直泰、酒井友之、田中洋明など2年前にU-17世界選手権を戦ったメンバーが中心だった。のちに小笠原満男や本山雅志、遠藤保仁、中田浩二など次から次へと有望株を取り込んで進化と拡張をつづけ、世界2位への道を突き進む黄金世代だ。
 
 なぜ彼らは光り輝けたのか。小野はこう見ている。
 
「やっぱり僕にとってはみんながライバルでしたし、それはいまでも変わりませんよ。一度集まればひとつになれる団結力はすごかったけど、むしろ離れたときですね。このなかの誰よりも成長するんだ、絶対に負けないと、みんな思ってたんじゃないかな。
 
 それこそが僕らの強み。みんなチーム(高校)に帰ったらそれぞれリーダーだったし、当時から責任感が強かった。代表に呼ばれてない選手にも能力の高い選手がたくさんいたし、合宿中も『いつ落とされるか分からない』って危機感がつねにありましたからね」

 
 そんな上昇志向の強い集団とものの見事に融合したのが、フィリップ・トルシエである。
 
 すでにA代表の監督に就任していたフランス人指揮官は、4年後の日韓共催ワールドカップ、2年後のシドニー五輪を見据え、3か月後(99年3月)にナイジェリア・ワールドユースを戦うU-20日本代表の指揮も任されることになった。
 
「そりゃもう、第一印象は強烈でしたよ。トレーニングの激しさは尋常じゃなかったですから。トレーニングは毎回毎回緊張感があったし、誰が次の試合に出るのか本当に分からなかった。でもね、僕らには合ってたんですよ、そういう緊張感が。本当に集中度の高いトレーニングができてましたから」
 
 日本はグループリーグ初戦のカメルーン戦こそ落としたが、その後は快進撃を続け、決勝トーナメントに入ると、ポルトガル、メキシコ、ウルグアイを連破してファイナルへ。合流間もない早生まれの永井雄一郎が躍動し、怪我で万全ではなかった稲本の代役として遠藤がすんなりハイパフォーマンスを披露した事実が、彼らの底力を物語る。
 
 しかし決勝では、強豪スペインに0-4の完敗を喫した。そこには当事者にしか感じ得ない、微妙なメンタルの揺れがあった。
 
「日本の決勝トーナメントの山には、ブラジルとアルゼンチンがいた。上に行くにはこのふたつを倒さなきゃいけないってみんなが思ってたんだけど、まずアルゼンチンがメキシコに負けて、ブラジルはウルグアイに負けたでしょ。精神的な気構えがぜんぜん違ったんですよ。
 
 で、決勝が絶対王者のスペイン。どこかで『いきなりだな』って感じたところがあったのかもしれない。実際にすごく巧かった。あのときは気にしてなかったけど、シャビとかもいたわけだから」
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