さらに、「ドンナルンマは偉大なるミランに相応しいか」と問われると、ライオラ代理人は「いや、偉大なるチームが彼に相応しいんだ」と返答。名門とはいえ、近年は低迷が続くミランに厳しい一言を突きつけた。
 
　しかし、現バイエルン監督のカルロ・アンチェロッティの意見は違う。在任中に二度のチャンピオンズ・リーグ制覇を成し遂げるなどミランの黄金期に指揮を執ったイタリアの名将は、焦って移籍する必要はないと主張する。
 
「チャンピオンズ・リーグが問題だというなら、時間の問題でしかない。ミランはすぐにそこに戻ることができる。ドンナルンマはとても若く、ミランで育った。大きな決断をする時間はこれからたっぷりある」
 
　また、イタリアGK界のレジェンドであるディノ・ゾフも、古巣ユベントスの守護神ジャンルイジ・ブッフォンの後継者にドンナルンマが相応しいとしつつ、当面はミランでプレーすべきだと呼びかけた。
 
「変化を考えるのではなく、ミランで続けるのが正しい。そして数年後、頂点に立つための条件が揃ったチームかどうかの結論を出せばいい。ドンナルンマは素晴らしい環境と素晴らしいチームにいる。心と理性が、今は変えるべきじゃないと勧めるはずだ」
 
　ドンナルンマは子供の頃からミラニスタだけに、本人の希望はミラン残留とも言われる。しかし、代理人がライオラとなれば、何が起こっても不思議はない。古くはデニス・ベルカンプ（元アーセナルなど／現アヤックス・コーチ）やパベル・ネドベド（元ユベントスなど／現ユベントス副会長）、最近ではズラタン・イブラヒモビッチ（マンチェスター・U）、マリオ・バロテッリ（ニース）、ポール・ポグバ（マンチェスター・U）などを次々に移籍させて世界中を驚かせてきた敏腕エージェントに、不可能なディールはない。
 
　はたして、間もなく誕生する“チャイナ・ミラン”は、ドンナルンマを慰留できるのか。新オーナーがサポーターの心を掴めるかどうかの大きな第一歩になる案件だ。