日本的な思考は俺の武器――小林祐希が見出した海外で生き残る道とは?

カテゴリ:海外日本人

安藤隆人

2017年02月02日

「言わなくても分かるよね、という日本的な思考に良さを感じている」

オランダでは日本以上にタフなプレーも求められるが、「言われる前にやってしまおう」という考え方が武器になっているとも。(C) Getty Images

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 昨年の11月に行なわれた親善試合のオマーン戦では、ボランチの位置から前線のスペースに飛び出し、右足のシュートでA代表初ゴールも決めた。それでも、小林本人は得点に強いこだわりはないという。
 
「(昨年11月の親善試合)オマーン戦で決めたゴールも、たとえ俺のシュートが入っていなくても、俺があのポジションまで走っていることがOKなんです。その運動量を見てくれれば。あのゴールはおまけのようなもので、あそこまでは走っていたけど、シュートが外れたら、次の瞬間に全力でポジションに戻っていた。これで良いと思っています。
 
 オランダでも一緒で、俺は『言わなくても分かるよね』という日本的な思考に良さを感じているんです。ヨーロッパの人は『言わなきゃ(主張しなきゃ)分からない』だけど、言わなくても雰囲気を察して、『言われる前にやってしまおう』とする。そういう選手がこっちには少ないから、そのプレーが目立つ。俺は今、そこを武器としていますから」
 
 その上で小林が理想としているのが、『真のポリバレント』になることだった。
 
「ヨーロッパでステップアップできる選手は10番、8番、6番(中盤の中央のポジション)すべてこなせる選手。誰かがいないから、今日はここね。今日は前がいないから前ね。今日はいるから、本来のここね。決して『穴埋めの選手』ではなく、あくまで『どのポジションでも計算できる選手』。穴埋め以上のことをする選手になる。それが、俺が海外で生き残っていく道だと思う」
 
 ただ複数のポジションがこなせるのではなく、どのポジションも一定レベル以上をこなせる選手。そこに小林の将来像がある。
 
「もちろん一番良いのはひとりで仕掛けて、決め切ってくれる選手が監督にとって一番助かる。でも、もし自分が監督だったら、一番使いたくなる選手はプジョル、マスチェラーノ、ブスケッツ。他にもビダル、シャビ・アロンソ、ラームなどは監督が誰であっても使われると思う。
 
 例えば、ビダルが年間10点取るかと言われたら、絶対に取らない。でも10点以上の働きをする。マスチェラーノだってバルセロナで1点も取ったことがないし、アシストもあまりないのにずっと試合に出ている。『言わなくてもそこにいてくれる安心感』をチームに与え続けたい」
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