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【選手権】なぜ応援するのか、されるのか――。初戦敗退の松山北、後半の反撃を生んだ「廻る力」

カテゴリ:高校・ユース・その他

平野貴也

2017年01月06日

応援される者には応援される理由がある。

初戦敗退となった松山北だが、後半は反撃に転じゴールに迫った。3年生は稲井(8番)、串部(後列右端)の2人のみだったが、渡部監督は「3年生は彼ら2人だったからこそ、ここまで来られた」と、その労をねぎらった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 元々、串部はGKとして入学したが「点が取りたくなった」と志願してフィールドへ転身。中盤で起用されたが、まったく走れずに怒られた。後ろを守る選手の気持ちを知れと言われてセンターバックを任されると、頑丈な身体を生かして奮闘。フィールドの選手として最下層からスタートしたにもかかわらず、トップチーム入りを果たした。最終的に主力FWが負傷した際、代役として強豪校を相手に結果を残し、FWへ転向した。
 
 串部は「なんか(自分のプレーの時に)盛り上がるんですよね。みんなが嬉しそうに応援してくれるので、やりやすい。夏のインターハイ予選も僕がスーパーサブで出ると応援が凄くなって、ドカッとくるけん、チームが息を吹き返すことがあった」と笑って話したが、怪我をすればスタンドで頑張り、怒られて希望のポジションを失っても次の場所で頑張った。彼への応援が多かったのは、チームの全カテゴリーと全ポジションでそういう姿を見せて来たことが影響しているに違いなかった。
 
 終盤、DF黒河友貴を前線に上げてパワープレーに出る時、渡部監督は串部をベンチに下げた。「情けないけど、串部を下げるのは3分くらい迷った。それぐらい大事な存在」と苦笑いを浮かべた。
 
 応援は、されて当たり前のものではない。応援される者には、応援される理由がある。串部への応援は、串部がやって来たことによって廻って来た力だった。稲井と2人だけ、最後まで部活に残って頑張った。その報いが全国大会でのプレー経験であり、自分への大声援だった。最後の大会を終え、串部は受験勉強に向かう。
 
「最初は推薦で大学に行こうと思っていたけど、あれ、内申点が足らんぞということになって、部活に残ってからヤバイ、ヤバイとなって、今、勉強しています」と串部は笑った。笑っている場合かと突っ込みたくなるけど、頑張れと言いたくなる。そんな選手がいるから大応援があり、応援があるから、力の足りないチームが奮闘できた。松山北が見せた後半の反撃には、そんな「廻る力」が宿っていた。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
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