あの5分が勝負だった。凌いでいれば、どうなったかはわからない。
気になるワンプレーだ。昌子とすれば、攻める気満々のレアルに対し、うかつに出ると危ない、というセンサーが働いただろう。つなぐのはリスクが大きいエリア。西には簡単にクリアしてほしかったはず。
逆に、西はいつも通りにやろうとした。残り時間は35分ある。フリーでボールを奪えた。打たれ続けるには長すぎる。西の判断も間違いとは言えない。
そもそも攻める気満々の全力レアルが、どれくらい恐いのか? どこまでならリスクを犯せるのか? そこが未体験ゾーンだ。柴崎がカルバハルに置き去りにされたとき、未知の生物が目の前に迫ってくる、そんな感覚があったのではないか。試合巧者の鹿島といっても、経験していないものには、どう対応していいのかわからない。慎重になる者、変わらない者に分かれた。
そして2分後、58分の場面だ。カルバハルが中から外へ走り抜け、左サイドバックの山本脩斗を引き出すと、山本と昌子の間に空いたスペースへ、バスケスが、やはりベンゼマとのワンツーで侵入。柴崎はここでもう一度置き去りにされ、2ボランチも、モドリッチとクロースへの意識が強く、後ろをカバーできず。抜け出したバスケスを、山本と柴崎が倒したPK判定は、妥当なものだった。
あの鹿島が、一瞬ふわっと戸惑った。そうは言っても、わずか5分程度のこと。ここを凌げば、レアルの圧力に対して修正し、守備のリズムができたはず。それが鹿島であるし、実際に2-2となった後は、柴崎をボランチへ移し、身体能力の高いファブリシオを2トップに入れた石井正忠監督の采配もあり、試合が落ち着いた。
本当に、あの5分が勝負だった。凌いでいれば、どうなったかはわからない。しかし、凌がせてくれなかった。それもまた、レアルだ。
鹿島にとって、この経験は先につながる。少なくとも次に戦うレアルは、未知の生物ではないのだから。
文:清水英斗(サッカーライター)
逆に、西はいつも通りにやろうとした。残り時間は35分ある。フリーでボールを奪えた。打たれ続けるには長すぎる。西の判断も間違いとは言えない。
そもそも攻める気満々の全力レアルが、どれくらい恐いのか? どこまでならリスクを犯せるのか? そこが未体験ゾーンだ。柴崎がカルバハルに置き去りにされたとき、未知の生物が目の前に迫ってくる、そんな感覚があったのではないか。試合巧者の鹿島といっても、経験していないものには、どう対応していいのかわからない。慎重になる者、変わらない者に分かれた。
そして2分後、58分の場面だ。カルバハルが中から外へ走り抜け、左サイドバックの山本脩斗を引き出すと、山本と昌子の間に空いたスペースへ、バスケスが、やはりベンゼマとのワンツーで侵入。柴崎はここでもう一度置き去りにされ、2ボランチも、モドリッチとクロースへの意識が強く、後ろをカバーできず。抜け出したバスケスを、山本と柴崎が倒したPK判定は、妥当なものだった。
あの鹿島が、一瞬ふわっと戸惑った。そうは言っても、わずか5分程度のこと。ここを凌げば、レアルの圧力に対して修正し、守備のリズムができたはず。それが鹿島であるし、実際に2-2となった後は、柴崎をボランチへ移し、身体能力の高いファブリシオを2トップに入れた石井正忠監督の采配もあり、試合が落ち着いた。
本当に、あの5分が勝負だった。凌いでいれば、どうなったかはわからない。しかし、凌がせてくれなかった。それもまた、レアルだ。
鹿島にとって、この経験は先につながる。少なくとも次に戦うレアルは、未知の生物ではないのだから。
文:清水英斗(サッカーライター)