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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の百零一「確信を与える論理 or 論理を超越する勝負運――監督に必要なのは?」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年12月13日

理論派にとって勝負運のなさを嘆くことは自己の否定に繋がる。

マドリーの他、国内外の多くのチームを率いた智将フローロ。98年にはヴィッセル神戸の監督も務めた。写真はカナダ代表監督時代(2013~16年)。 (C) Getty Images

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 1992-93シーズン、フローロのマドリーはハイレベルな戦いを続け、終盤は連戦連勝を重ねた。ヨハン・クライフ率いるバルセロナとのデッドヒートは語り草である。しかしリーガ・エスパニョーラ最終節、「勝てば優勝」だったフローロ・マドリーは敗れ、栄光を逃した。
 
「それもフットボールだ」
 
 フローロは、こともなげに言った。勝負運が足りない、と嘆くことはなかった。それは、自らの仕事を全否定することになるからだろう。
 
 論理を重ねるなかで、マドリーの戦いが燦然と輝いていたのは事実だ。やがて「ドリームチーム」と呼ばれるクライフ・バルサと、真っ向から戦っている。たら、れば、に意味はないが、最終節に勝利することができていたら、フローロは英雄になっていただろう。
 
「フローロのおかげで、フットボーラーとして成長できた」
 
 実に多くの選手たちが告白している。ベテランは復活を遂げ、フェルナンド・イエロ、ルイス・エンリケら若手たちは殻を破った。プレーの論理性が、選手たちに確信を与えたのだ。
 
 果たして、監督として必要なのは勝負運なのか?
 
 ちなみにフローロはこのシーズン、コパ・デル・レイ優勝を遂げたものの、翌シーズンは成績不振により、途中で降板させられている。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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