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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十七「『健全な試行錯誤』を重ねるスペイン代表。日本代表はどうか?」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年11月18日

自分の好みにこだわり過ぎると良き物を見落とすことになる。

クラブで結果を出している選手を招集・起用して、望む結果を手に入れた。理想と現実のバランスをとり続けるハリルホジッチ監督はここから先、正念場を迎えることになるだろう。 (C) Getty Images

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 健全な競争の象徴が、アリツ・アドゥリスだろう。このアスレティック・ビルバオ所属の35歳FWは、2シーズン連続スペイン人得点王であり、ヨーロッパリーグでも2年連続得点王の期待がかかる。
 
「ロシアW杯では37歳になるが……」などという不確定な要素に、ロペテギは惑わされていない。そもそも、2年後はどうなるかなど、誰にも分からないだろう。20歳の選手が、極端な不振に陥る可能性だってあるのだ。
 
 2年間、ロペテギはチームを鍛え上げていく方針だろう。
 
 マケドニア戦から3日後の親善試合、イングランド戦では3-4-3のシステムをテスト。新しい顔ぶれを並べ、システムも変わったため苦戦したが、2点ビハインドから最後は追いついた。セルタのFWイアゴ・アスパスが代表デビュー戦で、いきなり得点を生み出したのだ。
 
 このように、元世界王者が「健全な試行錯誤を重ねている」のは間違いない。
 
 翻って、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、オマーン戦でようやく大迫勇也を起用し、その実力を確信。正念場のサウジアラビア戦でも起用し、これが的中することになった。
 
 大迫はドイツ・ブンデスリーガのケルンで好調を維持している。9試合で先発出場を果たし、2得点。ゴール数は多いとは言えないが、攻撃の主軸となっている。
 
 ゆえに、遅すぎた選考、起用だったと言えるだろう。
 
「自分の戦術に、自分好みの選手」というのは、度が行き過ぎると、旬の素材を逃すことになる。料理人は食材を、自分の枠にハメすぎないことだ。そんな料理に、食欲をそそる香りは立たない。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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