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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十六「『守備的』なのは良しとしても『受け身』を続けてはならない」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年11月09日

オーストラリア戦でのリアクション戦術は確実に機能していた。

守備的な戦術を採ったことへの是非についてはさておき、それが意図した通りに機能して結果を残したのであれば、そのことについては正当に評価しなければならない。 (C) Getty Images

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 10月11日に行なわれたロシア・ワールドカップのアジア最終予選、オーストラリア戦(1-1)におけるヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表の出来は、決して悪くなかった。
 
「腰の引けた無様な戦い方」
 
 そんな意見もあったが、監督が戦術を与え、選手たちが実行していた。その点は評価するべきだろう。
 
 最終ラインは下がり過ぎず、微妙に修正。守備ブロックの臍の部分にいた長谷部誠が、各ラインをコンパクトに保ち、相手に活用できるスペースを与えなかった。
 
 サイドでは原口元気、小林悠が常に、中央へのパスをインターセプトしたり、外への侵入をも阻んだりできるようなポジションを取り、攻撃を封鎖。そしてボールを奪い取ってからのカウンターも精度が高く、迫力があった。
 
 そこには、ハリルホジッチ代表監督の狙いが濃厚に見えた。
 
「ボールを持たせる」
 
 オーストラリア戦の日本が採ったのは、そこを出発点にした戦術だった。
 
 それを「弱気」「退屈」と見るのは勝手だが、ひとつの戦い方ではあるだろう。相手が攻撃に出てきた時の方が隙は見付けやすい。その綻びを徹底的に突く。後の先を打つ、というリアクション戦術は、確実に機能していた。
 
 しかし、課題がないわけではなかった。
 
 前半はほとんどパーフェクトな出来だったものの、後半は綻びが出た。右サイドを破られ、原口がPKを与えてしまったシーンは、まさにそれだった。
 
 90分間、完璧に守り切るのは難しい。そして失点後、選手たちは明らかにうろたえ、心理的にも受け身に立ち、戦術精度は急落していた。もしオーストラリアが世界の強豪と同じレベルにあったら、一気呵成に攻め立てられ、万事休すだったろう。
 
 守備戦術は、布陣的には受け身になるとしても、心理的には相手を引き回すような「支配感」を失ってはならない。相手のバックラインが下がったら、一斉にバックラインを上げ、前線からはめ込んでショートカウンターを狙う、という応用戦も必要になるだろう。
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