前半はハイプレスで押し込み、後半はリトリートして凌ぐ柔軟性も。
戦術的に見れば、前半のハイプレスが見事にはまった。中東のチームでは珍しいポゼッション型のサウジアラビアには、前から奪いに行くという守備が有効だった。とりわけ際立っていたのが、ボールを失ってからの守備。奪われた瞬間にすぐさま複数人が猛然と襲い掛かる激しいプレスは、相手の攻撃を封じるだけでなく、素早いトランジションから前線に人数をかけた攻撃を可能とした。
「切り替えた後に見るんじゃなくて、一歩詰めて取りに行くってところが今日はよくできていたし、やっと監督が言っていたデュエルが発揮できた試合かなと思います」と、殊勲の原口もチームとしての戦い方に光明を見出していた。
また、この試合で確認できたのは戦術的柔軟性だ。前半はハイプレスを実行し、リードを奪った後半はコースを限定しながらある程度構え、相手のパスをインターセプトする機会が増えた。リトリートして耐え凌ぎ、敵地で勝点1を得たオーストラリアとの試合も含め、相手や状況、環境によってスタイルを変えられる戦術的な引き出しも、徐々に増えていることが窺えた。
課題はやはり失点場面。相手の速い攻撃に後手を踏み、後ろ向きの守備になったのが原因だが、実は前半にも右サイドを崩されて、あわやという場面を作られている。最終予選で5失点を喫している日本だが、崩されての失点は今回が初めて。奪われた時間帯も含め、押し込まれた際の守備に関しては再考が必要だろう。
もうひとつ気になったのはカウンターの精度だ。とりわけ後半、ボールを奪う位置が低くなった際、前に飛び出す人数が足りず、原口のカットから生まれた59分と、山口のボール奪取から生まれた61分のカウンターの機会をともにシュートに結びつけられなかった。
前半のように高い位置で奪えれば、前に人数が残っているために攻撃に厚みを持たせられたが、自陣で奪った際のロングカウンターの精度には物足りなさが残った。「もっと点を取れたという気持ちがある」というハリルホジッチ監督のコメントも、そのあたりの質を指しているのだろう。
今後アウェーの戦いでは、押し込まれる時間が増えるはずだ。慣れない環境下でハイプレスをかけ続けるのも難しく、現状のボランチの構成を見る限り、後ろからボールをつなぐポゼッションも求められない。となれば、日本の攻撃の生命線はカウンターになる。その精度をいかに高められるかどうか。来年に向けた大きな宿題と言えそうだ。
取材・文:原山裕平(フリーライター)
「切り替えた後に見るんじゃなくて、一歩詰めて取りに行くってところが今日はよくできていたし、やっと監督が言っていたデュエルが発揮できた試合かなと思います」と、殊勲の原口もチームとしての戦い方に光明を見出していた。
また、この試合で確認できたのは戦術的柔軟性だ。前半はハイプレスを実行し、リードを奪った後半はコースを限定しながらある程度構え、相手のパスをインターセプトする機会が増えた。リトリートして耐え凌ぎ、敵地で勝点1を得たオーストラリアとの試合も含め、相手や状況、環境によってスタイルを変えられる戦術的な引き出しも、徐々に増えていることが窺えた。
課題はやはり失点場面。相手の速い攻撃に後手を踏み、後ろ向きの守備になったのが原因だが、実は前半にも右サイドを崩されて、あわやという場面を作られている。最終予選で5失点を喫している日本だが、崩されての失点は今回が初めて。奪われた時間帯も含め、押し込まれた際の守備に関しては再考が必要だろう。
もうひとつ気になったのはカウンターの精度だ。とりわけ後半、ボールを奪う位置が低くなった際、前に飛び出す人数が足りず、原口のカットから生まれた59分と、山口のボール奪取から生まれた61分のカウンターの機会をともにシュートに結びつけられなかった。
前半のように高い位置で奪えれば、前に人数が残っているために攻撃に厚みを持たせられたが、自陣で奪った際のロングカウンターの精度には物足りなさが残った。「もっと点を取れたという気持ちがある」というハリルホジッチ監督のコメントも、そのあたりの質を指しているのだろう。
今後アウェーの戦いでは、押し込まれる時間が増えるはずだ。慣れない環境下でハイプレスをかけ続けるのも難しく、現状のボランチの構成を見る限り、後ろからボールをつなぐポゼッションも求められない。となれば、日本の攻撃の生命線はカウンターになる。その精度をいかに高められるかどうか。来年に向けた大きな宿題と言えそうだ。
取材・文:原山裕平(フリーライター)