「常にゴールを狙う」久保裕也こそ、日本代表にとって一番の“特効薬”だ

カテゴリ:日本代表

中野吉之伴

2016年11月10日

どこからでもゴールを狙ってくる、相手にとって最も嫌な存在。

2012年2月のアイスランド戦、18歳でA代表初招集(写真)を受けるも出場はなし。それから5年近くが過ぎた今、スイスで大きく成長した久保は日本代表を活性化させることができるか。 (C) Getty Images

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 久保の優先順位は、常にシュートからだ。時に、その気持ちが強すぎて、チャンスを逸してしまうこともある。
 
 狭いエリアにもドリブルで突っかかっていくのは、一見無謀なチャレンジでもある。だが、フリーの仲間がいようと、目の前に相手の守備があろうと、まずはそこを突破する道を探すところに久保の強さがある。
 
「良いシュートを打っても入らないこともあるし、たまにポンって適当に打って入る時もある」
 
 だからシュートを狙い続けるし、打てる場面で打てないことを非常に悔やむ。そして、それを引きずることなく、次へと切り替えていく。
 
「前だったら、前半がダメだと、そのまま試合に絡まず終わるっていうのが多かったんです。そういう面では、消えずに終われて良かったかな、という感じです」
 
 APOEL戦後、久保はそう振り返っていた。
 
 前へ、前へ――
 
 その連続した動きがチームに躍動感をもたらしていき、回り回って自身のゴールチャンスへと繋がっていく。どんなところからでもゴールを狙ってくる選手ほど、相手にとって嫌な存在はない。
 
「代表ってやっぱり、結果を出している人が行くもんだと思っています。まずは、ここで結果を出すという感じですかね」
 
 その言葉通り、スイス・スーパーリーグで3試合連続ゴールと、求めていた結果も出してみせた。
 
 場所を代表チームに移しても、スタイルは変わらない。真っすぐゴールへ――。それこそが、日本代表にとっても今、一番必要な特効薬である。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
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