名古屋はなぜ降格したのか。迷走を招いた小倉体制の真実

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2016年11月05日

信念を曲げてまで繰り出した苦肉の守備的サッカーも不発に。

小倉監督(写真)は第2ステージ9節の柏戦後に事実上の解任。後任のジュロヴスキー監督は、8試合で3勝3敗2分と健闘したが……。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 7月30日の横浜戦では来日したばかりのジュロヴスキー現監督が視察する中、対処療法的に導入した5バックで引き分けに持ち込んだが、その場しのぎの感は強かった。

「5人目まで連動するサッカー」という自らの信念を曲げてまで繰り出した苦肉の守備的サッカーは実らず、そこから3試合を経て小倉体制は終了。まずはコーチとして招聘し、その後昇格という形でジュロヴスキー監督が誕生した時から、名古屋の最後のあがきは始まった。
 
 3勝3敗2分。一時は残留圏と勝点7差があった“負け戦”を、ジュロヴスキー監督のチームは懸命に戦った。就任からわずか1週間の準備でチームに新たな戦術を植え付け、FC東京と引き分けると、続く新潟との直接対決を制し、19試合ぶりの勝利。この試合から指揮官の切り札として復帰させていた田中マルクス闘莉王も出場し、チームを力強くけん引するなど、用意したカンフル剤がてきめんに効き、名古屋は息を吹き返した。

 続くG大阪戦は力負けするも、仙台とのアウェー戦、5-0で大勝した福岡戦でシーズン初の連勝。ここで一度は残留圏に浮上した。

 だが、国際Aマッチデーによる3週間の中断期を境に、チームは下降線を辿った。清水で行なったキャンプの出来自体は良かったのだが、中断明け初戦の磐田とのゲームはそれまでのポゼッションベースの戦いが展開できず、翌週の神戸戦はステージ優勝争いを演じた地力の差を見せつけられ、再び降格圏に転落。

 16位で迎えた最終節は結果的には勝点1で十分だったが、「勝たなければ危ない」とでも思ったかのように冷静さを欠き、攻め急いだ挙句に3失点の大敗を喫した。土壇場での勝負弱さはシーズン序盤から抱える課題で、前体制の負の遺産が最後まで尾を引いた形になった。

 短期間でチームを立て直したジュロヴスキー監督の手腕は高く評価できるもので、降格に対する彼の責任は問われるべきではない。「ボスコがチームを正常な状態にしてくれた」と楢崎正剛が感謝するように、監督交代がなければ為すすべなく降格が決まっていたことは間違いない。
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