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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十五「日本サッカー界の監督からも『思想家』『革命家』は出現するか」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年11月01日

実務的な仕事をこなせる監督は現在の日本サッカーにもいるが。

周囲との衝突を怖れずに理想を追求する姿勢が、他との大きな違いを生み出すのだろう。和を重んじる日本では難しいが……。写真はビルバオ時代のビエルサ監督。 (C) Getty Images

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 ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)が監督を志した時、真っ先に赴いた先が、セサール・ルイス・メノッティ、ファンマ・リージョ、そしてビエルサの元だった。
 
 この3人は、“理想ロマン主義”と言える指導者かもしれない。無理だ、不可能だ、というモデルに挑む。
 
「90分間、ボールを持って攻め続けるというのが、ビエルサの究極的な理想だった」
 
 グアルディオラはそう語っているが、彼はその実現が難しいと悟りながら、選手時代にヨハン・クライフから受けた薫陶から類い希なる直感力を働かせ、明敏な革命家のようなフットボールを確立した。
 
「思想家がなし得なかった境地に、革命家として辿り着いた」のが、グアルディオラなのだろう。
 
 ボールゲームを追求するなか、セルジ・ブスケッツのような選手を覚醒させつつ、敵陣で奪い返すショートカウンターを確立することで、弱点だった守備の綻びを隠し、攻撃力を高めた。
 
 それは、実務家の現実的すぎるやり方とも違う。革命家は、世界サッカー史に名を残すようなスペクタクルを示し、それをバルサだけでなく、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・Cでも体現しつつある。
 
 誰もなし得なかったプレーモデルだ。
 
 翻って日本サッカーには、思想家、革命家、実務家と言える名将は出てくるのか。実務的な仕事をこなせる監督はいないことはない。それは、論理を身につけ、実戦をこなすことで磨かれる。しかし、思想や革命はまだ存在しない。
 
 唯一、その気配を見せるのは、川崎フロンターレの風間八宏監督だが、時代を切り拓くには、輝かしいタイトルが必要になる。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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