「本田はファンがどれだけ苦しんでいるか分かっていない」。
生粋のミラニスタだという30歳の女性サポーターは、「チームの方針に対してのいくつかの批判(昨年10月)は、たしかに納得できるものもあったわ」と前置きしたうえで、次のように語った。
「でも、私たちサポーターに対する批判はお門違いよ。ヨーロッパ・カップ戦もない、勝利の喜びもないこの最低の数年間で、私たちがどれほど苦しんだことか。そのことを本田は分かっていない、もしくは分かっていないフリをしているのよ」
リミニから来た22歳のカップルは、テクニカル面における純粋な疑問を投げかけた。
「たしかにまるでダメな選手ではないけど、守備が滅茶苦茶ハードで、瞬時にボールをコントロールする必要があるイタリアのサッカーには合っていないね。きっと中国だったらもっと力を発揮できるんじゃないかな?」
とはいえ、辛辣な声ばかりではなかった。62歳の年季の入ったミラニスタは、深遠な意見を聞かせてくれた。もちろん、ジェノア戦を見た後では彼もこんなことを言わなかっただろが……。
「本田は我々を狂喜させるようなプレーはしないが、それでもミランに来てからずっと、ピッチに呼ばれればそれなりの活躍を見せてくれた。だから、今シーズンの彼にまた同じことが起こったとしても、私はまったく不思議には思わないよ。律儀な彼は去り際の最後の贈りものとして、ミランがヨーロッパに返り咲くために力を貸してくれるのではないかな。そして、その後は晴れて自分の好きなクラブへ行く。それが本田らしいあり方だと思う」
本田はいま、サポーターにそっぽを向かれてしまっている。おそらくミランのラストシーズンであろうこの時になって……。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
「でも、私たちサポーターに対する批判はお門違いよ。ヨーロッパ・カップ戦もない、勝利の喜びもないこの最低の数年間で、私たちがどれほど苦しんだことか。そのことを本田は分かっていない、もしくは分かっていないフリをしているのよ」
リミニから来た22歳のカップルは、テクニカル面における純粋な疑問を投げかけた。
「たしかにまるでダメな選手ではないけど、守備が滅茶苦茶ハードで、瞬時にボールをコントロールする必要があるイタリアのサッカーには合っていないね。きっと中国だったらもっと力を発揮できるんじゃないかな?」
とはいえ、辛辣な声ばかりではなかった。62歳の年季の入ったミラニスタは、深遠な意見を聞かせてくれた。もちろん、ジェノア戦を見た後では彼もこんなことを言わなかっただろが……。
「本田は我々を狂喜させるようなプレーはしないが、それでもミランに来てからずっと、ピッチに呼ばれればそれなりの活躍を見せてくれた。だから、今シーズンの彼にまた同じことが起こったとしても、私はまったく不思議には思わないよ。律儀な彼は去り際の最後の贈りものとして、ミランがヨーロッパに返り咲くために力を貸してくれるのではないかな。そして、その後は晴れて自分の好きなクラブへ行く。それが本田らしいあり方だと思う」
本田はいま、サポーターにそっぽを向かれてしまっている。おそらくミランのラストシーズンであろうこの時になって……。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。