6試合で勝点1・得点2の最下位……期待されたハンブルクが躓いた理由

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年10月14日

「考えていることをチーム全員で共有できていない」(酒井)

恩師ラッバディアは去ったが、酒井は主力としての地位を守り続けている。ここまで全試合フル出場を果たしているのは、彼とGKレネ・アドラーだけだ。 (C) Getty Images

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 昨シーズン、ハンブルクを10位まで引き上げたラッバディア監督だが、チームとしてそこから力の上乗せをしようとした時に、違いを生み出す選手を使い切るだけの手腕が彼にあるかとなると、正直、心もとなかった。
 
 現在、チームの攻撃にアクセントを加えるはずだったハリロビッチは完全に居場所を見失い、出場機会も得られていない(5試合の途中出場で総出場時間は92分)。最初こそ、監督の話を真面目に聞いていたが、ここ最近はモチベーションの低下も著しかったという。
 
 もちろん、ハリロビッチのフィジカル能力や守備での戦術理解などが、ブンデスリーガで求められるレベルに達していないというのもあるだろう。だが、彼の持つ能力を引き出すサポートがあったのだろうか。
 
 チームとして、全ての試合が悪かったわけではないし、試合のなかで良い流れもあった。だが、6試合で2得点という数字はあまりにも少な過ぎる。
 
「積極的に守備をして、ボールを奪ったら素早く攻める」
 
 コンセプトとしては明瞭だ。だが、それだけではゴールへの道筋は見えてこない。
 
 フライブルク戦後、酒井高徳はこう指摘していた。
 
「パスコースを作りに来てくれないというか、あいつが何とかするだろう、と待っている感じ。選手1人ひとりがその時に考えていることを、チーム全員で共有できていない」
 
 この言葉通り、ボールを持った選手が“迷子”になってしまっているシーンが、あまりにも目立った。
 
 新監督としてマルクス・ギスドルが迎えられ、代表ウィークによる中断期では、急ピッチで整理を進められた。
 
 この監督交代が、どれだけポジティブな変化をもたらせるか。今後、ボルシアMG、フランクフルト、ケルン、ドルトムントと難敵との連戦が待っているだけに、すぐに結果は出ないかもしれない。
 
 それでも、そのなかで信じるに足る戦い方を見出すことができれば、その先に向けて歩み続けることもできる。もしできなければ、下位からの脱出は相当難しいものになる。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
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