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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十二「ハリルホジッチ監督の『修正能力』の程をオーストラリア戦で見極めよ!」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年10月11日

デュエルが弱い。……――そんな分析なら、素人でもできる。

イラク戦からわずか5日で、より高さのあるオーストラリアに空中戦で競り勝てるようになるはずがないが……。 (C) SOCCER DIGEST

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 スアレス氏が指摘するように、ハリルホジッチは弱点になっている「高さ解決」にすら、手を打てていない……。
 
 そもそも、自分たちがボールを握る、という面をより向上させるべきだろう。イラク戦では、パスのタイミングが合わず、いたずらにボールを失い、不用意な逆襲を受けていた。そのため、無理に止めざるを得ず、セットプレーを与えてしまった。
 
 セットプレーでの被失点の可能性を少なくするため、ハリルホジッチは「高い位置でボールを奪い返せ」と山口を投入したが、どこかピントがずれている――結果的に決勝点を蹴り込んだのが山口だったとしても、だ――。
 
「オーストラリアは、イラクよりもパワーに優れている。空中戦のデュエル(1対1)に勝つ習慣を身につけなければならない」
 
 イラク戦後、ハリルホジッチは「デュエル」という言葉を万能の呪文のように繰り返したが、一朝一夕に空中戦に勝てるものではない。体格差というのは、いかんともしがたい。だからこそ、相手の良さを封じる「戦術」があるのだ。
 
 デュエルが弱い。勇敢さ、体格、身体能力が劣る――そんな分析なら、素人でもできる。
 
 正念場のオーストラリア戦。ハリルホジッチがどんな修正を施してくるのか、注目である。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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