数字が示すペップのシティにおけるブラーボの存在意義。
ただし、初戦後の反応は酷評の嵐というほどひどくはなく、賛否両論といった程度だった。マンチェスター・Cの勝利(2-1)という結果もあるが、ペップ・グアルディオラ新監督がハートには不向きと判断した、「スイーパー・キーパー」としての能力を示したからだ。
ペナルティーエリア外も領分とする攻撃の起点としての存在意義は、総合的には10点満点中4点の低評価が目立った国内各紙も認めるところ。「56」を数えたボールタッチのうち15回がエリア外という数字は、プレミアに新手のGKが加わったことを示している。
この日にブラーボが見せたロングキックやフィードに、特筆すべきパスがあったとは思えない。「GKとしては過去最高の部類に入るパフォーマンスを見せた」というグアルディオラによる評価は、いかに新戦力とはいえ褒め過ぎだろう。
しかし、足下に自信を持つ者ならではのポジショニングは効いていた。GKがエリアの淵にいるチームの最終ラインは必然的に中盤寄りの高さを保ち、このプレミアで最も高いハイラインが、前半を圧倒したマンチェスター・C優勢の一因となっていた。
もっとも、その流れを変えてしまったのもブラーボ自身。優勝候補同士のダービーに勝利したマンチェスター・Cに「最右翼」の呼び声が高まる一方で、その新守護神候補はチームの「弱点」に挙げられてしまっている。
プレミア1年目に手にする定評は、果たして「スイーパー・キーパー第1号」か、はたまた「ドッジー・キーパー最新版」か? ひとまず、デビュー戦での姿が、ボックス内で砦を守る「ゴールキーパー」とは呼べない類いのものであったことは間違いない。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
ペナルティーエリア外も領分とする攻撃の起点としての存在意義は、総合的には10点満点中4点の低評価が目立った国内各紙も認めるところ。「56」を数えたボールタッチのうち15回がエリア外という数字は、プレミアに新手のGKが加わったことを示している。
この日にブラーボが見せたロングキックやフィードに、特筆すべきパスがあったとは思えない。「GKとしては過去最高の部類に入るパフォーマンスを見せた」というグアルディオラによる評価は、いかに新戦力とはいえ褒め過ぎだろう。
しかし、足下に自信を持つ者ならではのポジショニングは効いていた。GKがエリアの淵にいるチームの最終ラインは必然的に中盤寄りの高さを保ち、このプレミアで最も高いハイラインが、前半を圧倒したマンチェスター・C優勢の一因となっていた。
もっとも、その流れを変えてしまったのもブラーボ自身。優勝候補同士のダービーに勝利したマンチェスター・Cに「最右翼」の呼び声が高まる一方で、その新守護神候補はチームの「弱点」に挙げられてしまっている。
プレミア1年目に手にする定評は、果たして「スイーパー・キーパー第1号」か、はたまた「ドッジー・キーパー最新版」か? ひとまず、デビュー戦での姿が、ボックス内で砦を守る「ゴールキーパー」とは呼べない類いのものであったことは間違いない。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。