イングランド人にとっての鬼門、セリエA……初GKのハートの運命は!?

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年09月03日

イングランド人選手のイタリアでの成功例は歴史的にも稀少…。

セービング能力だけでなく、言葉によるコミュニケーションもより重要となるGKというポジションだけに、厳しいカルチョの世界でハートは鍛えられることだろう。 (C) Getty Images

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 ジョゼップ・グアルディオラ体制のマンチェスター・シティで戦力外となったGKジョー・ハートが、イタリア・セリエAのトリノへレンタル移籍を果たした。
 
 現役イングランド代表正GKだけに、その動向が注目を集めていたが、29歳にして初の海外挑戦、しかもいまだに世界で最も難しいリーグといわれるセリエAでゴールマウスを守ることとなった。
 
 この移籍は、1929年のセリエAが現在のような全国統一リーグとして整備されて以来、イングランド人GKが初めてこのリーグでプレーするということで、歴史に残るものでもある。
 
 ちなみに、1898年からスタートした初期のリーグ(地区別にリーグが行なわれ、それぞれの勝者が決勝大会に出場)では、ジェームス・リチャードソン・スペンスリーというイングランド人がジェノアでGKとDFとしてプレーし、初期の6度の全国制覇に貢献している。
 
 歴史的に、フィールドプレーヤーだけを見ても、ドイツ、スペイン、フランスに比べると、セリエAでプレーしたイングランド人が少ないのは、そもそもこの国の選手が海外に出ることが少ないこともあるだろうし、またイタリアのスタイルに合いづらいからかもしれない。
 
 次頁に、過去にセリエAでプレーしたイングランド人選手の一覧を記したが、30名近くの選手のなかで、成功例に挙げられるのは、やはりそれほど多くはない。
 
 古くは、60年代にイングランド最高のストライカーといわれたジミー・グリーブスは1961年にミランに加入し、デビュー戦でいきなりゴールを挙げ、その後、14試合で9得点というハイペースでゴールを重ねたが、クラブの事情などによりイタリアでの生活は半年で終わった。
 
 同年、アストン・ビラからインテルに加入したゲリー・ヒッチェンスは、1シーズン目でチーム最多の17ゴールを挙げる活躍を見せ、その後、トリノ、アタランタ、カリアリでもプレーしている。
 
 それからかなり時は経ち、1991年、アストン・ビラのデイビッド・プラットはバーリへ移籍し、チームはセリエB降格となったものの、彼自身は11ゴールを挙げた他、イタリアのサッカーにも適応し、印象的な外国人選手としてカルチョの国でも認められる存在となった。
 
 翌シーズンには強豪ユベントスに迎えられ、93年には当時、チームのキャプテンだったロベルト・マンチーニの強い希望もあってサンプドリアに引き抜かれ、2シーズンを過ごした。プレーも人間性も知性的だったことも、評価を高める要因となった。
 
 95年にマンチェスター・ユナイテッドからインテルに加入したポール・インスは、闘志溢れるプレーで中盤に君臨し、多くの外国人選手がひしめき合うチームのなかでも、抜群の存在感を誇った。
 
 そして、最も直近の例はデイビッド・ベッカムだろうか。MLSのロサンゼルス・ギャラクシー在籍時の2009年春、リーグのオフ期間を利用し、レンタルでミランに短期間加入。翌年のアフリカ・ワールドカップ出場のため、欧州で健在ぶりをアピールするためのものだった。
 
 LAのファンからは非難を浴びたこの移籍で、ベッカムは好プレーを披露。スター揃いのミランにおいて、攻守でチームに高い貢献を示したことで、レンタル期間終了を多くのミラニスタが惜しんだほどだった。
 
 翌年の春、最後のアピールのために再びベッカムはミランに短期加入し、ここでも鮮やかなFKを見せるなど好調ぶりを披露するも、その最中にアキレス腱を断裂。自身4度目のW杯出場の夢は破れ、イタリアのピッチとも永遠の別れを告げた。

プレーでも、言動でも、知性を感じさせる選手だったプラット。サンプドリアでは、コッパ・イタリア優勝を果たした。写真はパルマ時代のジャンフランコ・ゾーラ(左下)との競り合い。 (C) Getty Images

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短期での在籍ながら、ミランで絶大な存在感を示したベッカム。アンドレア・ピルロ、ロナウジーニョも、威光を放つこのスーパースターの前には影が薄い!? (C) Getty Images

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