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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の八十六「守備者の本質を曖昧にする『“攻撃的”をありがたがる』風潮」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年08月31日

「攻撃的」には強い誘惑があるようだが、それは呪縛でもある。

オールマイティーを目指すと、時に全てが中途半端に陥ってしまう。まずは“本業”で絶対的な強みを身につけるべきだろう。 (C) Getty Images

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 長友佑都も、攻撃的という部分がクローズアップされてきたSBだろう。
 
 彼は体幹を鍛え、アップダウンする力を向上させてきた。世界最高のSBに、という気負いがあったのだろう。トレーニング自体は悪いことではないが、攻撃的であることに執着し過ぎた。攻撃参加に力み過ぎ、守備が疎かになっていったのだ。
 
 2010年から2012年の半ばは成長を遂げ、攻守のバランスが取れていたが、2012年半ばから、徐々に平衡感覚を失っている。その結果、2014年のブラジル・ワールドカップでは自身のサイドを切り崩され、戦犯のひとりに挙げられた。
 
 この悪い流れを引きずり、2014-15シーズンも迷走。しかし、2015年11月のローマ戦で厳しい守備を見せて勝利に貢献してから、ようやく上向きになった。
 
「守備の比重を多くした」
 
 ローマ戦後の長友本人の弁だが、彼はもっと早くに気付くべきだった。
 
 もっとも、周りから投げかけられる「攻撃的」という言葉には、強い誘惑があるのかもしれない。それだけで全てが解決する、という万能の呪文のような――。
 
 しかし、それは呪縛のようなものであって、いつの間にか絡め取られてしまう。守りを本分とする選手たちは、その怖さを決して忘れてはならない。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
小宮 良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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