ノイアーみたいなGK!? 9秒台狙う桐生祥秀のサッカー少年時代を恩師、後輩らが証言

カテゴリ:国際大会

平野貴也

2016年08月13日

「シュートを打てる場面でパスをくれるような人だった」

桐生が在籍していた現在のプライマリーSC。足の速さは高学年の頃から目立つようになった。写真:平野貴也

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桐生の一学年後輩で、サッカーの名門・野洲高に進学した瀬口(58番)は、中学時代も先輩の驚異的な進化を目の当たりにした。写真:平野貴也

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 当時、指導にあたっていた峯浩太郎コーチはGKという意外なポジションで活躍していた桐生の姿を記憶している。
 
「時々、練習試合などではFWで前に張らせてスピードを生かしたカウンター一発で点を取るということもさせたけど、5、6年生の時は、ほぼGK。ドイツ代表GKのノイアーみたいだった。守備範囲が広くて、ボールがペナルティエリアに到達すれば、相手FWより桐生が先にいるという状況だったから。彦根市の選抜セレクションもGKで受けて合格したのですが、選出された理由は、やっぱり出足のスピードでした」
 
 当時は快足と言っても、チームの中で足が速いグループのひとりといった程度の存在感だった。驚異的な存在になっていったのは、小学校の高学年から。陸上競技を行なっていた兄の影響を受けたのか、ぐいぐいとタイムを伸ばすようになり「ジェット桐生」のあだ名がついた。小学校6年生でチームを卒団する頃には、チームで明らかに一番速い選手になっていた。
 
 小学校を卒業し、中学生になる段階で、桐生は運命の決断をしている。サッカーを辞め、陸上競技の道に進んだ。峯コーチは「卒団するときに中学では陸上をやると言っていたので、指導者も仲間もサッカーに引き留めようとはせず、陸上をやれば凄い記録を出すんじゃないかという期待で送り出した」と当時の雰囲気を話した。
 
 サッカーの世界で結果を残す可能性も否定はできないが、英断だったと言うべきだろう。サッカーをする桐生、陸上競技をする桐生の両面を見て来た一学年後輩の瀬口雄貴は「桐生君は、めちゃくちゃ速かった。でも、優しくて、僕なら絶対にシュートを打つという場面でパスをくれるような人だったから、サッカーみたいな対人競技より、陸上競技の方が合っていたかもしれないなと思います。それにしても、中学生になってからの桐生君は、半端なかったですね。あらゆる記録をどんどん塗り替えていましたから」と話した。
 
 瀬口は、5年生の頃に一学年上の桐生らのチームに混じって試合に出場。後に滋賀の強豪である野洲高で全国高校総体のメンバー入りも果たした選手だが、中学時代はセゾンFCというクラブチームに所属し、学校の部活動には所属していなかったため、中学校の陸上部に駆り出されて大会に出たこともあった。そのため、陸上界に進んだ後の桐生の姿もよく知っている。誰にも邪魔されることなく、他を寄せ付けずに疾走する桐生の姿を見て、負けていられないと強い刺激を受けていた。
 
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