イブラヒモビッチほど指揮官の要望に見合った選手いなかった。
2つ目の理由は、その「決定力」。昨シーズンのユナイテッドは、深刻なゴール欠乏症に喘いだ。総得点49は全20チーム中の10位。不振を極めたチェルシー(59得点)よりも少なかった。
イブラヒモビッチは昨シーズン、パリSGで38ゴールを挙げてリーグ・アンの得点王に輝き、公式戦通算で50ゴールを量産した。パリSGでの4年間では、シーズン平均で39ゴール(全公式戦)を挙げている。
右足のシュートは強力で、強靭なフィジカルを利したポストプレー、インテリジェントな動きで周囲を活かすスペースメークも巧み――。
ルイス・ファン・ハール前監督の下でクオリティーを高めたポゼッションを、効率良くゴールに結び付ける「残り30メートルのキーマン」として、イブラヒモビッチはまさしく適材だ。厳しいプレミアのサッカーにも、全くに苦にせず適応するだろう。
「ズラタン? もはや説明はいらないだろう。実績と成績が全てを物語っている」
モウリーニョもその得点力に絶大な信頼を寄せている。
最後の理由は、イブラヒモビッチの強烈なリーダーシップに期待してだ。モウリーニョは契約交渉の席で、「カリスマ性を持つ新たなリーダー」の必要性をクラブ側に訴え、併せて「100パーセントの忠誠を誓う選手」、「ワールドクラスの実力者」を、就任の条件として要求したという。
要するに、イブラヒモビッチほど指揮官の要望に見合った選手は、他にいなかったということだ。
イブラヒモビッチとモウリーニョの関係は、インテルで共に戦った2008-09シーズンに遡る。監督とエースストライカーとして、ふたりは最高の関係を築き上げた。イブラヒモビッチは当時を、こう振り返る。
「ジョゼのことは大好きさ。彼は俺のボスであり、インテル時代も常に気にかけてくれた。彼のためなら、俺は死んだって構わない」
「モウリーニョとは素晴らしい思い出しかないが、心残りはある。それは、インテルで1シーズンしか一緒に仕事ができなかったこと。俺たちは共に戦い、勝利の味を噛みしめた。彼は勝者で、俺も勝者。ふたりは同じものを求めている。つまり、勝利だ。どこへ行っても、俺たちは勝つ」
しかしユナイテッドからすれば、イブラヒモビッチの獲得は「異例中の異例」と言えるものだった。ユナイテッドが伝統的に持つ補強の基本方針は、「将来性のある選手を獲得し、“ユナイテッドの選手”に育て上げる」こと。今年10月で35歳になるイブラヒモビッチは、このポリシーに反する新戦力だ。
もちろん、過去にオーバー30の補強がなかったわけではない。テディ・シェリンガムやヘンリク・ラーションなどがその代表例だ。とはいえ、引退が近付く34歳、しかも強烈なキャラクターの持ち主で、“劇薬”になりかねないイブラヒモビッチは、過去のケースとは明らかに異なる。
つまり、それほどユナイテッドは切羽詰まっていたのである。ポリシーをかなぐり捨てても、リスクを冒してでもイブラヒモビッチ獲得に動いたそこに、クラブの必死さ、焦りが見て取れる。それは言い換えれば、復権への強い意志でもある。
イブラヒモビッチは昨シーズン、パリSGで38ゴールを挙げてリーグ・アンの得点王に輝き、公式戦通算で50ゴールを量産した。パリSGでの4年間では、シーズン平均で39ゴール(全公式戦)を挙げている。
右足のシュートは強力で、強靭なフィジカルを利したポストプレー、インテリジェントな動きで周囲を活かすスペースメークも巧み――。
ルイス・ファン・ハール前監督の下でクオリティーを高めたポゼッションを、効率良くゴールに結び付ける「残り30メートルのキーマン」として、イブラヒモビッチはまさしく適材だ。厳しいプレミアのサッカーにも、全くに苦にせず適応するだろう。
「ズラタン? もはや説明はいらないだろう。実績と成績が全てを物語っている」
モウリーニョもその得点力に絶大な信頼を寄せている。
最後の理由は、イブラヒモビッチの強烈なリーダーシップに期待してだ。モウリーニョは契約交渉の席で、「カリスマ性を持つ新たなリーダー」の必要性をクラブ側に訴え、併せて「100パーセントの忠誠を誓う選手」、「ワールドクラスの実力者」を、就任の条件として要求したという。
要するに、イブラヒモビッチほど指揮官の要望に見合った選手は、他にいなかったということだ。
イブラヒモビッチとモウリーニョの関係は、インテルで共に戦った2008-09シーズンに遡る。監督とエースストライカーとして、ふたりは最高の関係を築き上げた。イブラヒモビッチは当時を、こう振り返る。
「ジョゼのことは大好きさ。彼は俺のボスであり、インテル時代も常に気にかけてくれた。彼のためなら、俺は死んだって構わない」
「モウリーニョとは素晴らしい思い出しかないが、心残りはある。それは、インテルで1シーズンしか一緒に仕事ができなかったこと。俺たちは共に戦い、勝利の味を噛みしめた。彼は勝者で、俺も勝者。ふたりは同じものを求めている。つまり、勝利だ。どこへ行っても、俺たちは勝つ」
しかしユナイテッドからすれば、イブラヒモビッチの獲得は「異例中の異例」と言えるものだった。ユナイテッドが伝統的に持つ補強の基本方針は、「将来性のある選手を獲得し、“ユナイテッドの選手”に育て上げる」こと。今年10月で35歳になるイブラヒモビッチは、このポリシーに反する新戦力だ。
もちろん、過去にオーバー30の補強がなかったわけではない。テディ・シェリンガムやヘンリク・ラーションなどがその代表例だ。とはいえ、引退が近付く34歳、しかも強烈なキャラクターの持ち主で、“劇薬”になりかねないイブラヒモビッチは、過去のケースとは明らかに異なる。
つまり、それほどユナイテッドは切羽詰まっていたのである。ポリシーをかなぐり捨てても、リスクを冒してでもイブラヒモビッチ獲得に動いたそこに、クラブの必死さ、焦りが見て取れる。それは言い換えれば、復権への強い意志でもある。