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【リオ五輪】ハッタリではない「全勝金メダル」宣言。人を“本気”にさせる手倉森誠という男

カテゴリ:日本代表

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2016年08月04日

手倉森の何気ない一言で「“本気”になれた」。

14年にU-21日本代表監督に就任。A代表コーチを兼任しながら、若いチームを着実に成長させ、アジア最終予選は全勝優勝。見事にリオ五輪出場権を獲得した。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 被災地クラブとして、一時的に関東に拠点を移し、リーグ再開に向けて活動していたベガルタには多くのメディアが取材に殺到した。監督の手倉森にもインタビュー取材の要請がいくつもあり、そのうちのひとつに対応しようとしていた時だった。
 
 ホテルで取材を終え、それぞれの部屋に戻るまでのほんの短い間に、並んで歩く手倉森からこんなことを言われた。改まった口調ではなく、何気ない感じだった。
 
「いろんな人の助けや力を借りて、今、こうして活動できている我々には、大きな注目が集まっている。広報として、クラブを全国に売り込む良い機会なんじゃないのか」
 
 ハッとさせられた。広報としての責務をどこか全うし切れていない自分に、そして、どんな状況でも下を向かず、ポジティブに物事を進めようとする手倉森のスタンスに。
 
 状況が状況だけに、“売り込む良い機会”という捉え方は、ある意味、非常識かもしれない。それでも、いつもとは違う姿を見せているスタッフに前を向かせるための手倉森なりの叱咤激励だったのだろう。
 
「誠さんのあのひと言で気付かされたというか、完全に気持ちを切り替えられたんです。よし、やってやろうと、自分の仕事に対して“本気”になれた瞬間でした」
 
 悲しみや喪失感に打ちひしがれている場合ではない。吹っ切れた。ひとりでも多くの人に、復興のシンボルとして戦う覚悟を決めた「手倉森ベガルタ」のことを知ってもらおうと、彼は広報としての仕事に没頭した。
 
 そして、記者の問いに対する答えである。導き出した結論はこうだ。
 
「たぶん誠さんって、人を“本気”にさせる監督だと思うんです。モチベーターとも言えるかもしれないけど、それとはちょっと次元が違うというか……」
 
 そのスタッフにはもうひとつ、強烈な思い出がある。08年のベガルタの監督就任後、仙台に選手たちが集まるシーズンのチーム始動日に、手倉森はこう宣言した。
 
「5年でACLに出場する」
 
 手倉森を除くその場にいた全員が、度胆を抜かれたという。当時は、ベガルタはまだJ2にいた。ある選手も「いやいや、まずはJ1昇格でしょ」と正直な気持ちを吐露している。
 
 しかし、10年のJ1昇格から3年後の12年にベガルタはリーグ2位となり、翌シーズンにはACLに出場――手倉森は公約を守ってみせた。
 
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