【リオ五輪】藤春廣輝の原点――スピードを開花させた練習と負けず嫌いの亡き父

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年08月03日

徹底してランニングフォームを叩き込まれた大阪体育大時代。

オーバーエイジとしてリオ五輪に臨む藤春。さらなる成長のため、重圧のかかる役目を引き受けた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 軽やかに、なめらかに、藤春廣輝はピッチを駆ける。
 
 武器は、50メートル5秒8の快足でサイドを駆け上がる攻撃参加と、守備でも広範囲をカバーするスタミナ。攻守両面でハイレベルなパフォーマンスを見せるJリーグ屈指の左サイドバックが、オーバーエージ選手としてリオ五輪代表に選出された。
 
「スピードなら、誰にも負けない自信はある。ワールドカップに出たいという目標もあるし、自分の力が世界でどのぐらい通用するのか、試してみたい」
 
 そう語る五輪代表のスピードスターは、じつは高校時代まで50メートル7秒台という平凡な選手だった。
 
 走ることは大好きだった。小学校低学年の頃は買い与えられた自転車に乗らず、母の自転車を走って追いかけるような少年だった。小学3年から始めたサッカーでは同じ左利きの中村俊輔や名波浩に憧れていたが、東海大仰星高2年時にMFからサイドバックに転向。そして大阪体育大に進学し、坂本康博監督との出会いが、運命を大きく変えた。
 
 サッカーに適した身体の使い方を追求し、個性的な指導を行なっていた坂本監督の下、眠っていたスピードが開花した。
「つま先立ちのジャンプをずっとやらされていた。練習前に1000回とか。その当時は辛いとしか思っていなかったけど」
 
 足が地面に付く際、つま先から着地することで足の裏全体を使って地面を蹴るランニングフォームを叩き込まれた。「走り方が軽くなった」ことに、身体的な成長も加わったことでスピードは飛躍的にアップした。
 
 元々持っていた豊富な運動量に、スピードが加わって大学サッカー界きっての攻撃的サイドバックとして台頭。この一芸がスカウトの目に留まり、2011年にG大阪入り。プロ入り後も13年に長谷川健太監督がG大阪の監督に就任し、課題だった守備面を徹底的に鍛えられ、15年には日本代表入りも果たすなど着実に成長を遂げてきた。
 
 JではG大阪のレギュラーとして確かな実績を積み上げてきたが、自身が目標とするワールドカップ出場には、世界での経験が足りないことは本人が一番痛感している。「G大阪では、僕は黙って走るだけ」と語るように、強い自己主張や、リーダーシップを発揮するようなタイプではない。
 
 お腹が弱く、すぐに腹痛を起こすため「海外の食事は苦手。リオにもパンを持っていかないと。日本のパンは最高なので」と語るなど、『へたれキャラ』を覗かせることもしばしば。
 
 それでも今でははっきりと、日本代表不動の左サイドバック・長友(インテル)を目標に挙げるようになった。
「五輪で通用しなければ世界では通用しない。普通にやっていたのでは、長友さんを超えられないと思うので」
 
 重圧のかかるオーバーエージを引き受けたのも、もっと成長したいという強い思いがあったからだ。
 
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