田中、平河とともにもう１人、大きなインパクトを残したのは坂元だという。2023年夏にセレッソ大阪からコベントリーへ赴いてからの２シーズンをフル稼働した彼の存在感の大きさを、斉藤は痛感したという。

「坂元選手は、自分がアウェーで対戦した２月11日のゲームでは、チームの絶対的中心として躍動していました。田中碧選手と一緒でプレーに余裕があることも分かって、『ああ、もうしっかり立場を作れているんだな』としみじみ感じました。僕もそのあたりから結果を残し始め、ようやく立場を築きつつあったので、坂元選手のような立ち位置になることがすごく大事だと思いました」

　小柄なドリブラーという意味で、斉藤と坂元は共通するところが少なくない。肉弾戦やハイインテンシティが特徴のチャンピオンシップで、サイズの大きくない日本人選手が十分に爪痕を残せるというのを彼らが実証したことは、やはり特筆すべき点である。

　2025-26シーズンのチャンピオンシップでも、日本人選手の大量参戦の流れは加速しそうだ。大橋、平河、坂元、瀬古の残留は確実で、そこにプレミアから降格してきたサウサンプトンの菅原由勢や松木玖生、フットボールリーグ１（３部）から昇格してきたバーミンガム・シティの岩田智輝らがいる。バーミンガムには古橋亨梧と藤本寛也も加入する噂があるため、それが実現すれば、日本人選手が一大勢力となると言っていい。
 

「実際にイングランドに行ってみて、日本人選手の評価がどんどん高くなっていると実感しました。イングランドサッカー界が価値を見出しているのはポジティブなこと。

　ただ、その流れが進めば、『日本人だから』とは思われなくなる。どこの国の選手でも関係ないし、やっぱり僕ら選手は自分の価値を見せつけていくしかない。自身のプレーに集中することが大事なんです」と斉藤は至って冷静にコメントしていた。

　確かにブラジルやアルゼンチンの選手は欧州に当たり前に存在し、圧倒的な存在価値を示している。「日本も当たり前のように優れた選手を数多く輩出する国」になれば、どのチームにも日本人がいる状況が生まれるだろう。そうなれば、日本代表がワールドカップで優勝争いをするのも当然ということになる。斉藤らにはそう仕向けてほしいものである。

※第２回終了（全４回）

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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