試合後、ウェールズ・サポーターが集うスタンドにチームメイトとともに向かう。そして、拳を振り上げて叫ぶ。「試合前に約束した通り、勝ったぞ！」と言わんばかりに。
 
　母国のファンは「ベイル！ ベイル！」の大合唱で応えた。
 
　そのまま自軍のベンチ付近に戻ると、11番の小さなユニホームを着た女の子が駆け寄る。３歳になる長女アルバ・ヴァイオレットちゃんを抱きかかえたベイルは、満面の笑みで頬にキスをした。
 
　ヤンチャなアルバ・ヴァイオレットちゃんは、パパの手から降りると、芝生の上を駆け出した。ベイルは愛娘を笑顔で追い掛け、中央付近でキャッチ。サポーターに向かって掲げ、スタンドは再び大歓声で応えた。
 
「ファンタスティックな気分だ。ベスト８進出は大きな目標だったんだ。予想していた通り、スペースがないとても難しい試合だった。しかし、僕らは勝った。全力で声援を送り続けてくれたサポーターに感謝したい。彼らを誇りに思っている」
 
　試合後にそう語ったベイル。このスーパースター率いるウェールズの夢物語は、はたしてどこまで続くのか――。
　
現地取材・文：白鳥大知（サッカーダイジェスト特派）

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