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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の七十五「共闘精神なくして高みへの到達はあり得ない」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年06月16日

スペインの名手たちの引退会見にチームメイトはどのような態度で臨んだのか。

国内屈指の名手であるバレロンの引退会見には、多くのチームメイトが集まり、その様子をじっと見守ったという。(C) Getty Images

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 バスクだけでなく、スペインサッカーが世界の頂点に立っているのは、いざ戦いに及んだ時の仲間意識にある。先日、スペインサッカーの象徴のひとりであるファン・カルロス・バレロンが引退会見をした時、場内には記者だけでなく、大勢のチームメイトも顔を並べていた。
 
「毎週、練習場で仲間と練習するのが楽しみだった」
 
 バレロンは目を潤ませて語っているが、仲間への熱いメッセージとそれを神妙に聞き入る選手たちの表情は、共闘精神のなんたるか、を雄弁に説明していた。また、アスレティック・ビルバオのカルロス・グルペギの引退会見も同様で、チームメイトたちが最前列に陣取っている。
 
 仲間に対する敬意を表すこと、それを怠るような選手はフットボールの世界では上に進めない。
 
 熊本地震の被害によって活動が限られていたJ2のロアッソ熊本が、5月15日の13節・ジェフ千葉戦からリーグ戦に復帰した。その再開戦で、一昨年まで熊本に2年間在籍した橋本拳人(FC東京)が、千葉まで応援に駆けつけていた。
 
 当時のチームメイトたちが今も多く在籍し、地震の影響でろくに練習もできない、という苦境を知っていた。仲間たちを少しでも励まそう、という自然な行動だった。これこそが共闘精神の発露というべきものだろう。
 
 そういう気持ちはどういう形にせよ、ピッチの上で必ず出るものだ。
 
 共闘精神を示せるか――。
 その表現方法は様々にあるかもしれないが、フットボールで高みに行くには不可欠である。
 
文:小宮良之(スポーツライター)
 
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡り、ジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
 
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