宇佐美貴史、柴崎岳、小林祐希、宮市亮――プラチナ世代に迫る”ラストチャンス”

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年06月15日

資質では北京世代を上回るも、成功への飢餓感を欠いた92年組。

前アギーレ体制下では主力だったが柴崎だが、現ハリルホジッチ体制ではメンバーを外れることが多い。写真:徳原隆元

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 そんな状態だから、守備が発展途上だった小林を組み込めば、攻撃偏重が助長されるだけなので、さすがに指揮官も招集を見送った。
 
 それでも小林は比較的順調に成長し、東京Vでは10代でキャプテンに任命された。ただしポジションは、ユース時代のトップ下からボランチへと変わり、少なからず葛藤もあった。
 
 一方で同年代には、さらに先を走る冒険者たちがいた。宇佐美がバイエルン、宮市亮はアーセナルと契約し、特に宮市はレンタル先のフェイエノールトでブレイクし日本代表にも選出される。また中高年代で小林と見事な連係を見せていたチームメイトの高木善朗も、オランダへ渡りユトレヒトへと移籍して行った。
 
 だが20歳前後からのプラチナ世代は、期待値が高かった分だけ、総じて停滞傾向が浮き彫りになる。
 
 10代の頃は、どんな強豪国のエースにも引けを取らなかった宇佐美は、ハイレベルな仕掛けは目を引いても「戦えない」と評価を落としてドイツから帰国する。G大阪でも突出した攻撃面とは裏腹に、ハードワークというハードルがクリアできずに、アルベルト・ザッケローニ時代後半から、ハビエル・アギーレ期まで日本代表への選考を見送られた。
 
 2012年ロンドン五輪代表には、辛うじて宇佐美と杉本健勇が滑り込むが、前回のブラジル・ワールドカップは誰も経験していない。U-17代表で何度か対戦しているネイマールには瞬く間に水を開けられ、香川真司も含めた北京五輪世代の尻を叩けなかったという点でも、日本サッカー界にとって大きな誤算となった。
 
 そしてワールドカップ・ブラジル大会での敗戦を受け、アギーレが指揮権を引き継ぐと、着実な右肩上がりを続けてきた柴崎が選ばれ、一方では年代別代表経験がない武藤嘉紀や昌子源が抜擢されていく。
 
 もっとも武藤は、小学生時代から都内の強豪バディの主将として、周辺地域の選抜チームを組むジャクパに所属する小林とはライバル関係にあり、若年代から目立つ存在だった。もともと技術や身体能力は際立っており、むしろSB、MFなどで遠回りをして、ようやくプロでFWという天職に巡り合い開花した印象だ。

 また米子北高からプロ入りした昌子も、育成上手の鹿島でチャンスを掴み浮上した。
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