【ブルガリア戦・徹底検証】大量得点より、後半の2失点こそ最大の収穫だ

カテゴリ:日本代表

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2016年06月05日

ブロックは作るも「ボールの取りどころが定まっていなかった」(長谷部)。

前半の流れが悪い時間帯に守備を立て直す指示を出した長谷部。ブロックを形成する守備については「まだまだ完成度はそこまで高くない」。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 一方で、ふたつの失点は余計だった。岡崎の先制点が生まれたのは開始4分で、序盤から日本はペースを握っていたが、15~25分あたりはブルガリアに押し込まれる場面が目に付くようになる。
 
 そうした状況下で、キャプテンの長谷部が盛んに周囲に声をかける姿が見て取れた。
 
「先制すれば、相手も前に出てきて、押し込まれる時間は間違いなくあるだろうという話は試合前にしていました。そうなった時には、しっかりブロックを作って、ということで、ブロックは作っていたんですけど、ボールの取りどころがあまり定まっていなかった」
 
 相手をサイドに追いやるという守備のセオリーを守り切れてなく、球際の強度も下がっていたという。危険な匂いを感じ取った長谷部は、ディフェンス面の立て直しを指示。そこでなんとか持ち堪え、しばらくすると香川のチーム2点目が決まるが、「多少は修正できたと思いますけど、まだまだ完成度はそこまで高くない」と長谷部は言う。
 
 事実、6-0と大差がついて気が緩んだのか、宇佐美のゴールが生まれたその2分後に、最初の失点を許している。スローインを起点にバイタルを崩されたが、全体的に日本の選手の足は止まっていて、失点に至る一つひとつのプレーで反応が鈍く、後手を踏んでしまっていた。
 
 終盤の2失点目は、中盤でのパスミスから相手にボールが渡り、そのままゴール前まで運ばれて、追いついた遠藤航は球際で競り勝てず、シュートを打たれている。
 
「ブルガリアは“目が覚める”のが遅かった。途中からは向こうも出てきて、圧力をかけてきた。相手が良くなってからの対応の仕方では、1失点目も2失点目も、本当にちょっとした判断のミスとかが重なっての失点だった。アジアでは取られないかもしれないけど、ヨーロッパのチームにはやられてしまう。そこはまだ自分たちの甘いところだと思う」(長谷部)
 
 残念ながら、ブルガリア戦前の公式会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が懸念していたとおりの結果となってしまった。
 
「シリアには5-0で勝ちましたが、10分間で2、3回、相手にビッグチャンスを作られています。ブルガリア相手に同じことをすれば、1~2失点してしまいます」
 
 改めて、ひとつのミスが命取りになることを痛感できたという意味では、良いレッスンになったはず。ワールドカップの本大会を見据えても、今回のふたつの失点は教訓にしなければならない。圧巻のゴールラッシュの影に隠れたこの2失点こそが、ブルガリア戦の最大の収穫と言ってもいい。
 
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