チームのために走り続けた彼にもたらされた、正当な見返り。
C・ロナウドは自分がフィニッシュに絡むのと同じくらい、ベンゼマ、ベイルをフィニッシュに送り込むことを意識しながらプレーしており、遠めの位置から無理にシュートを狙っていくような強引な仕掛けが少ない。むしろこの試合では、それはベイルの役目だった。
しかし、後半に入って試合のリズムが落ち、それまではコンパクトだったアトレティコの2ライン間にスペースが出来始めると、徐々にフィニッシュに絡むことも多くなってくる。
そのなかで、勝負を決める絶対的な主役になる機会がなかったわけではない。1-0とリードして迎えた77分、ベンゼマと交代で投入されたルーカス・バスケスが右ウイングに入ると、ベイルが左に回ってC・ロナウドはCFを務めることになった。
その直後、カウンター気味の展開で右サイドから持ち上がったルカ・モドリッチから、SBとCBのギャップを突いてスタートを切ったC・ロナウドに絶好の縦パスが送り込まれる。
ディエゴ・ゴディンのマークを外して縦に抜け出したC・ロナウドがダイレクトで放ったシュートは、しかし当たりきらず、GKヤン・オブラクの正面に弱々しく飛んだ。
さらにその1分後、今度は左サイドからの仕掛けからベイルが入れた短いクロスに反応、左足でまたいで右足のヒールで合わせるというトリッキーなシュートを放ったが、これもオブラクがセーブされる。
そのこぼれ球を拾い、ドリブルでオブラクをかわしたベイルのシュートは、ゴール前でステファン・サビッチに奇跡的にクリアされてしまう。
この2つの決定機は、1-0というスコア、訪れた時間帯、そしてプレーの難易度の高さと、どれを取っても、C・ロナウドがこの試合の絶対的なヒーローになるためには申し分のないチャンスだった。
しかも、これを決めきれなかったその直後、逆にカウンターに転じたアトレティコが、ファンフランのクロスを途中出場のヤニック・カラスコがねじ込んで同点に追いつくという、マドリーにとっては非常に嫌な展開になる。
しかし、そのアトレティコにも、そこからさらに押し込んでもう1点奪うだけの力は残されていなかった。
C・ロナウドにとっては、のしかかる期待に応えることができず、ヒーローになり損ねて終わるかもしれなかった試合。それでも、最後の最後で訪れた一番おいしい場面をきっちり決めて、チームに勝利をもたらすあたりはさすがとしか言いようがない。
何より、この日のC・ロナウドにとっては、自らがヒーローになるよりも、チームに11度目のビッグイヤーをもたらすことの方がずっと大事なことだったのだ。
そして彼は、120分を通じてそのように振る舞い、戦った。最後の場面は、それに対する正当すぎるほどに正当な見返りだったと言えるだろう。
現地取材・文:片野 道郎
しかし、後半に入って試合のリズムが落ち、それまではコンパクトだったアトレティコの2ライン間にスペースが出来始めると、徐々にフィニッシュに絡むことも多くなってくる。
そのなかで、勝負を決める絶対的な主役になる機会がなかったわけではない。1-0とリードして迎えた77分、ベンゼマと交代で投入されたルーカス・バスケスが右ウイングに入ると、ベイルが左に回ってC・ロナウドはCFを務めることになった。
その直後、カウンター気味の展開で右サイドから持ち上がったルカ・モドリッチから、SBとCBのギャップを突いてスタートを切ったC・ロナウドに絶好の縦パスが送り込まれる。
ディエゴ・ゴディンのマークを外して縦に抜け出したC・ロナウドがダイレクトで放ったシュートは、しかし当たりきらず、GKヤン・オブラクの正面に弱々しく飛んだ。
さらにその1分後、今度は左サイドからの仕掛けからベイルが入れた短いクロスに反応、左足でまたいで右足のヒールで合わせるというトリッキーなシュートを放ったが、これもオブラクがセーブされる。
そのこぼれ球を拾い、ドリブルでオブラクをかわしたベイルのシュートは、ゴール前でステファン・サビッチに奇跡的にクリアされてしまう。
この2つの決定機は、1-0というスコア、訪れた時間帯、そしてプレーの難易度の高さと、どれを取っても、C・ロナウドがこの試合の絶対的なヒーローになるためには申し分のないチャンスだった。
しかも、これを決めきれなかったその直後、逆にカウンターに転じたアトレティコが、ファンフランのクロスを途中出場のヤニック・カラスコがねじ込んで同点に追いつくという、マドリーにとっては非常に嫌な展開になる。
しかし、そのアトレティコにも、そこからさらに押し込んでもう1点奪うだけの力は残されていなかった。
C・ロナウドにとっては、のしかかる期待に応えることができず、ヒーローになり損ねて終わるかもしれなかった試合。それでも、最後の最後で訪れた一番おいしい場面をきっちり決めて、チームに勝利をもたらすあたりはさすがとしか言いようがない。
何より、この日のC・ロナウドにとっては、自らがヒーローになるよりも、チームに11度目のビッグイヤーをもたらすことの方がずっと大事なことだったのだ。
そして彼は、120分を通じてそのように振る舞い、戦った。最後の場面は、それに対する正当すぎるほどに正当な見返りだったと言えるだろう。
現地取材・文:片野 道郎