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“鬼木メモ”はすぐ処分?常に同じ熱量を持ち続ける川崎・指揮官の流儀。新たなACLにはどう対応するのか【インタビュー4】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年09月18日

「本当に未知」

佐々木(5番)ら逞しさを増す選手も増えてきた。若い芽は少しずつ育っている。(C)SOCCER DIGEST

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 改めて新フォーマットとなったACLエリートは、グループステージで同じ東地区の12チームのうち8チームと対戦する(ホーム4試合、アウェー4試合。上位8チームが準々決勝へ)。これまでは同じグループ内の3チームとそれぞれホーム&アウェーで戦っていたが、ホームとアウェーどちらか1試合しか戦わないため、イメージがつきにくく、分析の量も増えそうだ。

 ちなみに川崎はグループステージで蔚山(韓国/アウェー)、光州(韓国/ホーム)、上海申花(中国/アウェー)、上海海港(中国/ホーム)、ブリーラム(タイ/アウェー)、山東(中国/ホーム)、浦項(韓国/アウェー)、セントラルコースト(オーストラリア/ホーム)と対戦する。

「本当、未知ですね。蔚山は何度も戦っているので、イメージは付きますけど、それもホームとアウェーでの対戦があったため、考え方が異なる。やってみないと分からない部分が多いです。もしかしたらどのチームも従来のようなアウェーだから引き分けでOKっていう考え方も生まれないかもしれない。当たり前ながら全部勝つつもりで行く。勝ち星計算も各チームで異なるはずですからね」

 ひとつずつ目の前の試合に臨んでいく。それは変わらないということだろう。

「今はチーム内で競争が激しくなってきましたし、各々が逞しくなってきています。内容的にもチャンスの数は間違いなく増えている。そこはチームとして自信を持って、戦っていきたいですね。

 ただ一方で、正直まだまだ隙が多い面もある。ACLに関しては一発を持っているチームや、試合の内容云々だけではない部分で決まってしまうことがあるのは、これまでの経験で重々分かっています。そこは色んな意味で自分たちが強くなっていかなきゃいけない。メンタル面を含めてレベルアップしていきたいですね。

 もちろん、クラブとしてアジアチャンピオンは悲願ですが、今は目の前の1試合1試合をしっかり戦う。Jリーグもそうですけど、そこで着実に力を付けていきたいですし、付けなきゃ簡単に勝ち上がれる大会ではない。だからこそ、ありきたりですが、ひとつずつ戦って力を少しでも付けていく。各試合で得た経験を経験で終わらせないことも重要です。

 恐らく今のメンバーは、新しく感じることが多いと思うので、そこを活かして勢いで持っていけるぐらいの戦いと、あとはやっぱり積み重ねていきたいですよね。勢いで勝てる試合もあるかもしれないけど、勝てた意味を噛み締めてほしい。それこそ僕が1年目、Jリーグで優勝した時に選手には『この空気感や経験は、もう言葉では説明できないから、とにかく覚えていてほしい』っていう話をしましたけど、一緒ですよね。

 システムどうこうとかではなく、やっぱり勝つ時って、相手にどれだけやられても誰もが必死に身体を張ったりとか、もしくは怖がらずに自分たちのサッカーを貫いたりとか、そういう色々な経験をしっかり蓄積してほしい。今のチームには今のチームの良さがありますし、勝ち方を積み重ねていきたいです」
 苦しみながらも鬼木監督が今季蒔いてきた種も徐々に芽を出し始めている。

「(佐々木)旭、(山田)新、(遠野)大弥はすごく変化を感じますし、他にも徐々に変化が見られる選手が増えてきました。その中のひとりに声を出すようになった高井(幸大)もいます。やっぱり色んな悔しい思いをして、強くなってきているのかなと」

 大卒3年目の佐々木旭は持ち運べるCBとしてJリーグでもトップレベルのパフォーマンスを見せ、大卒2年目の山田新は8月に日本人では通算3人目となる3試合連続2ゴールをマークし、ストライカーとして進化。25歳の遠野大弥も貴重なゴールを決めている。そして20歳になったばかりのCB高井幸大は先日、A代表デビューを飾ったことで話題にもなった。

 そうした個々の、そしてチームの成長をACLにつなげられるか、そこも注目である。

パート5に続く

■プロフィール
おにき・とおる/74年4月20日生まれ、千葉県出身。現役時代は鹿島や川崎でボランチとして活躍。17年に川崎の監督に就任すると悲願のリーグ制覇を達成。その後も数々のタイトルをもたらした。“オニさん”の愛称で親しまれる。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

※ACLの新フォーマット
 2024-25シーズンからAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)、AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)、AFCチャレンジリーグ(ACGL)の3つのレベルの大会に再編。

 ACLEはこれまでより少ない24クラブの出場で、グループステージは東地区、西地区それぞれ12チームに分かれ、8クラブと1試合ずつ対戦(ホーム4試合、アウェー4試合)。各地区上位8クラブがラウンド16(東地区の1位対8位など各地区内の順位によって対戦相手が決定)に進出し、ホーム&アウェーの2試合合計スコアで勝利したクラブが準々決勝へ。準々決勝から決勝は東地区と西地区が合わさったトーナメント戦で、2025年4月25日から5月4日までサウジアラビアで集中開催される予定。
 
 優勝クラブは賞金1000万ドル(約14億6000万円)に加え、4年に1回開催されるFIFAクラブワールドカップ(2029年大会)の出場権を獲得する。
 
 川崎はグループステージで蔚山(韓国/アウェー)、光州(韓国/ホーム)、上海申花(中国/アウェー)、上海海港(中国/ホーム)、ブリーラム(タイ/アウェー)、山東(中国/ホーム)、浦項(韓国/アウェー)、セントラルコースト(オーストラリア/ホーム)と対戦する。
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