日本サッカーにとって「ボールプレー」は生き残りに不可欠な術。

日本人選手の特長を活かしたサッカーを今後も継続していくべき。貴重な経験を積んだ海外組には、局面における最適なプレー選択の方法を国内の若手に伝授してもらいたいところだ。 (C) Getty Images
では、Jリーグでこうしたチームを作ることは可能だろうか?
簡単なことではない。クライフはバルサの監督を解任された後、いくつかのクラブから監督オファーを受けたが、その全てを断った。
「残念ながら、あなた方のチームでは、私の理想には届かない」
ボールを動かす駒の力が足りない、という現実はある。バルサの選手たちのボールスキルは目が飛び出るほどに高い。Jリーグを見回して、違和感なくプレーできる選手はひとりもいないだろう。
結局は、身体的な速さや強さで足りないところを補い、相手の良さを消し、ミスを利用する戦い方が主流になる。その流れは如何ともしがたい。
だとすれば、ボールゲームは捨てるべきか?
それは誤りである。
かつてアルベルト・ザッケローニに率いられた日本代表は、「ボールありき」の戦術によってアジアで頂点に立ち、世界の強豪と渡り合った。「高い位置でボールを持ち、攻撃をする時間を増やす」ことで、攻撃を防御にも使っていた。
日本人サッカー選手は、一般的に身体のサイズが小さいことからコンタクトプレーに弱く、一方で細かいボール技術と俊敏性を特長とする。コンビネーションを使った攻撃に活路を見出すのは必然だろう。
もっとも、“ザックジャパン”はボールプレーに固執過ぎた。そして、特定の選手がパスゲームに酔った。彼らには、局面における柔軟性が必要だったのである。
ただ、道筋は大きく間違っていない。
ボールプレー。
それは、日本人がフットボールというスポーツで生き抜いていくため、欠かせない勝利のメソッドなのである。
文:小宮 良之(スポーツライター)
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
簡単なことではない。クライフはバルサの監督を解任された後、いくつかのクラブから監督オファーを受けたが、その全てを断った。
「残念ながら、あなた方のチームでは、私の理想には届かない」
ボールを動かす駒の力が足りない、という現実はある。バルサの選手たちのボールスキルは目が飛び出るほどに高い。Jリーグを見回して、違和感なくプレーできる選手はひとりもいないだろう。
結局は、身体的な速さや強さで足りないところを補い、相手の良さを消し、ミスを利用する戦い方が主流になる。その流れは如何ともしがたい。
だとすれば、ボールゲームは捨てるべきか?
それは誤りである。
かつてアルベルト・ザッケローニに率いられた日本代表は、「ボールありき」の戦術によってアジアで頂点に立ち、世界の強豪と渡り合った。「高い位置でボールを持ち、攻撃をする時間を増やす」ことで、攻撃を防御にも使っていた。
日本人サッカー選手は、一般的に身体のサイズが小さいことからコンタクトプレーに弱く、一方で細かいボール技術と俊敏性を特長とする。コンビネーションを使った攻撃に活路を見出すのは必然だろう。
もっとも、“ザックジャパン”はボールプレーに固執過ぎた。そして、特定の選手がパスゲームに酔った。彼らには、局面における柔軟性が必要だったのである。
ただ、道筋は大きく間違っていない。
ボールプレー。
それは、日本人がフットボールというスポーツで生き抜いていくため、欠かせない勝利のメソッドなのである。
文:小宮 良之(スポーツライター)
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。